KIRJOJEN PUUTARHA
フィンランド文学情報サイト

 

 tunnus おすすめ作品のご紹介

このページでは随時これはお勧めと思う新しい作品を紹介していこうと思います。ただし、日本語になっていない場合がほとんどですので、要約と抜粋訳を著作権法第32条に定められた目的に従って加えています。参考にしていただければ幸いです。なお、おすすめ作品ページ作成にあたり各出版社より書籍を寄贈いただきました。関係機関の皆様に感謝申し上げます。

下記の中からお好きな項目を選択してください。

「フィンランド文学作品棚」

 tunnus おすすめ作品一覧 ― 掲載日が新しいものが上部に表示されます。

 

 

Möbiuksen maa

Johanna SinisaloMöbiuksen maa


八歳の女の子ピーは一人寂しく夏休みを迎えました。友だちのサンナが引っ越し、サンナと作った秘密基地は誰かに壊され、年の離れた姉の二人はすっかり大人に見えて、ピーとは遊んでくれそうにありません。しょんぼりと歩いていると、ごみ置き場でいっぷう変わったブレスレットを見つけました。ブレスレットは紫を帯び、金銅色や灰色の縞模様が入っていました。ピーがブレスレットに見入っていると、さらにいっぷう変わった猫に出会いました。ストロボのように白黒に明滅する猫は、そこに存在しているのにそこにはいないチェシャ猫のようでした。猫は、シュレディンガーの猫と名乗りました。シュレディンガーの猫に促され、ブレスレットをはめた途端、同時に存在するもう一つの世界リンクラに迷いこんでしまいました …
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Aatos ja Sofian sokeriletit

Riitta JalonenAatos ja Sofian sokeriletit


好きな人と一緒ならどんなに小さなことも大きな物語になる。雪の日のソフィアの三つ編みは糖衣をまとったように白くなり、ソフィアと踏む雪面からきゅっきゅっと鳴く動物が生まれ、雪の上に広げた絨毯は湖に空けた氷の穴になり、ふたりで座った収納箱の中には愛がいっぱい詰まっていて、雪の巣穴に眠るのは目に見えないアートスの思い。少年アートスと少女ソフィアの丁寧に美しく編み上げられていく小さな恋の物語 …
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Puhelias Elias

Essi KummuPuhelias Elias


秋をまえに、お母さんと親友のプリートを海の向こうに残して、小学一年生のエリアスはお父さんと妹のインケリと町で新しい生活を始めました。おしゃべりだったエリアスは、しゃべらない子になりました。空を群れて飛ぶカラスを眺めては別れてしまった二人を恋しく思い、建物から漂うスープや焼きたてのパンの匂いにお母さんを思いました。雨上がりの帰り道、エリアスは海が見たくて港に出ました。海なら、目に見えない赤い糸のメッセージが伝わっていくと思ったのです。お父さんがかつて読んでくれた中国の童話には、望まず離ればなれになった大切な人を繋ぐ、目に見えない赤い糸があると書いてありました。エリアスは二つの家を行き来することになりました …
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Hotel Sapiens

Leena KrohnHotel Sapiens


世界は、沈黙した。空は人間が改良という名のもとに生み出した化学薬品のスモッグに覆われ、過去と未来を繋ぐ木々の緑も鳥の歌もない。壊滅した世界に、ホテル・サピエンスは屹然とそびえ立つ。ここは宿泊施設でもあり、シェルターでもある。翻って介護施設でもあり、病院でもある。入居者は住人でもあり、患者でもある。彼らは皆、同じ不治の病を患っていた。病名は「人間性」だ。ホテル・サピエンスは医学研究所でもあり、また教育機関でもあった。住人の世話をするのは人工知能シスターで、夜になると小さな鏡で住人の額を照らし、彼らの思考や夢を調査する。ホテル・サピエンスでは、かつての哲学者たちをホログラムによって復活させ、講義の時間を提供した。復活したのは、ニコラ・テスラにアッシジの聖フランチェスコで、新デカルトは「我は夢見る、故に我あり」と唱えた。 …
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Teemestarin kirja

Emmi ItärantaTeemestarin kirja


極地の氷河は溶け、雪や氷の冬はもはやなくなった。海面は上昇し、陸とともに多くの都市が沈んだ。石油は涸れ、亜熱帯の太陽が唯一の天然資源となった。資源や技術が涸渇した灰色の時代を経て、森や水は今、軍事政権の厳重な監視下に陥っていた。ラップランドの僻村で暮らすノリア・カイティオは、茶人であった父の跡を継ぎ、茶事の亭主として生計を立てていた。茶人は、水を守る人であり、水に奉仕する人だ。ラップランドの丘陵の洞窟には、人知れぬ源泉があった。そこから水を引いて茶会でもてなし、あるいは水を止めて水が尽きぬよう、茶人は静かに守り続けてきた。水は誰のものでもない。茶をもてなす場では誰もが皆、等しくある。そんな水の記憶を、父の死後、ノリアは代々の茶人がそうであったように、受け継いでいこうと決意する…
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Maailmalla

Tapani BaggeMaailmalla!


カイサはお父さんと二人暮らしです。お父さんは牛乳の配達をしています。お母さんは"外国"の気象台で働いていて、もうずいぶんと一緒に住んでいません。同じマンションには友だちのペッカやパシが住んでいてよく遊んでいますが、管理人のライネやお父さんの新しい友だちのシルックとも遊んでいます …
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Maukka ja Väykkä rakentavat talon

Hannele HuoviIhme juttu!


よく目をこらせば、まわりはふしぎでいっぱい。おとうさんの靴下にあいた穴。カッコウのしあわせの歌。舟にのったエンドウ豆。赤い夕焼けは鍛冶屋のしごと。ホロムイイチゴの湿原でおどるヤギ。知っているようで知らないこと、知らないようで知っていること、そんなすべてが、うたになる。自然のふしぎにささげた讃歌です …
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Maukka ja Väykkä rakentavat talon

Timo ParvelaMaukka ja Väykkä rakentavat talon


猫のマウと犬のバウの空色の家は、空と森をわかつ丘の上にありました。ところが、昨年のクリスマスプレゼント事件で家は丘をすべり落ち、数ヶ月かけてようやく丘の中腹まで持ち直しました。春めく四月、雪はついに解け、家は斜めに傾いたまま動かせなくなりました。このまま冬が来るのを待つか、家を解体して丘の上に組み立てなおすほか手はありません。雪はとうぶん降らないでしょうし、組み立てなおすにも、マウが手伝わないことを考慮に入れるとひと夏かかってしまうでしょう …
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Den vita vinthunden

Maria VuorioKuningattaren viitta


ある時ふいに自分は何者かと母に尋ねたミミズ。鏡を見ながらいつまで経ってもイボが現れない自分に不安と焦りを感じたイボガエル。ルーティンワークから思いきって抜け出したノミ。目をかけられずに枯れてゆく百合の涙に、はたして気づく人はいるのだろうか。マッチ箱のマッチの燃えるように儚い人生。絶滅危惧種の昆虫に食われたデンマーク王妃の七百年前の羽毛のケープ。どの出来事も誰にとってもありうることであり、人生の普遍の真実だということを、鋭く深く描き出した珠玉の寓話集…
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Den vita vinthunden

Henrika RingbomDen vita vinthunden


フィンランドの現代詩を代表する詩人ヘンリカ・リングボムの言葉は、水のように流れ、夢のように多様に世界を繋いでゆく。文法や解釈や比喩にとらわれることなく、言葉の持つ純粋なイメージとリズムで編み上げられる円環的な詩は、着地点ではなく始まりを探求する …
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Siiri tekee maalin

Sinikka NopolaSiiri tekee maalin


シーリのお隣のオット三兄弟はサッカーを始めました。夢中になって楽しんでいる三人の様子に、シーリも仲間に入れてもらおうとしますが、シーリにはセンスがないからと入れてもらえません。そこで、シーリは女子サッカーチーム「ファイト」に入ります。ところが、シーリはなかなかゴールを決められなくて、チームメイトのカロリーナからイヤミを言われます。日曜日の初試合にもシーリに出てほしくないとまで言われました。対戦相手は負け知らずの「サンダー」です。シーリがいじめられている様子をこっそり見ていたちびオットは …
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Nenäpäivä

Mikko RimminenNenäpäivä


ヘルシンキに息子と二人で暮らしている中年女性のイルマは、ある日、屋内マーケットで「モンステラ、譲ります」という掲示板を目にした。譲り主が住んでいる都心からほど遠いケラヴァに向かうものの、家を間違えてしまう。ところが、間違えて訪ねた家が心地よく、思わず世帯調査員だと偽って、人恋しさに各戸を幾度となく訪ねるようになる。訪問先はケラヴァの集合住宅だった。隣近所同士の付き合いはない。最初の訪問先はヨキパルティオだ。専業主婦のイリヤは解雇された夫の不機嫌な態度に悩んでいる …
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Maukka, Väykkä ja mieleton lumipallo

Timo ParvelaMaukka, Väykkä ja mieleton lumipallo


猫のマウと犬のバウは、空と森をわかつ丘の上の空色の家に住んでいます。気まぐれなロマンチストのマウのために、バウはクリスマスプレゼントを用意しました。ベニヤ板をつなぎ合わせてつくった、それはそれは大きな雪玉アドベントカレンダーでした。マウは喜んで、さっそく1日目の窓をこじ開けました。そこには斧が入っていました。喜んだのもつかのま、しっかりと固定されていなかった雪玉が丘を転がりはじめたのです。雪玉は、ニワトリのフォン・ゴットの納屋を潰し、ウシのムーッコネンのベランダを壊し、アヒルのクヴァークの温室やポッス婦人の煙突を倒して、湖に沈んでしまいました …
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Risto Räppääjä ja kuuluisa Kamilla

Sinikka & Tiina NopolaRisto Räppääjä saa isän


ラウハおばさんと暮らしているリストにはお父さんがいません。お母さんは世界をまたにかけて活躍する研究者で、お父さんはリストが小さいころに交通事故で亡くなりました。でも、リストはあたらしいお父さんがほしいとは思っていません。ところが、ラウハおばさんの誕生日にケーキ作りに腕を振るうリストを見て、頭の固い親戚のエルヴィおばさんは、男の子らしくない、と嘆きます。男の子というのはスポーツでもして外で遊ぶものなのに、リストは女の子のように家でお菓子を作っています。こうなったのは女性に囲まれて育ったせいだ、とエルヴィおばさんが言いだしました …
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Tuulihattu ja tuhat tarinaa

Anna-Mari KaskinenTuulihattu ja tuhat tarinaa


ぼくが住んでいるアパートに大きな帽子をかぶった女の子が引っ越してきた。名前はトゥーリという。大きな帽子も明るいトゥーリも気になって、友だちになった。大きな帽子はアパートの資源ゴミ置き場で拾ったらしい。タグにはスペイン語で「秘密」と書いてある。トゥーリはいろんな話を知っていた。ふわふわと宙に浮く女の子の話、スーツケースの中で眠りこけてパリまで旅した男の子の話。一人っ子のトゥーリは花や木と話ができて、おなじように犬や鳥と話ができる女の子の話もしてくれた。人間はもともと動物や植物と通じあえるはずなのに、忙しさのあまり立ちどまって聞くことを忘れてしまったのだとトゥーリは言った…
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Mennään jo kotiin

Riina KatajavuoriMennään jo kotiin


今のフィンランド人家庭を記録に残したい、そんな思いから挿絵画家サッラ・サヴォライネン(Salla Savolainen, 1962-)は十数戸を訪ねました。理想化することなく描かれたありのままの生活に、詩人リーナ・カタヤヴオリは子どもの視点で物語を添えましたお風呂が大好きなヴィルヘルミーナは、人魚になったりアザラシになったり、ときにはシャンプーの宣伝に登場する女の人になったりします。オリバーは、とにかくいろんなものをガラクタにして調べます。エミルは、悲しみの場所を段ボールで作って、悲しみが過ぎ去るのをその中で待ちます…
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Jättityttö ja Pirhonen

Hannele HuoviJättityttö ja Pirhonen


あるところに大きな女の子がおりました。空と大地のあいだをうめるほど大きく、足跡は湖になり、涙は川になり、ちょっと手を動かすと気流が乱れるほどでした。大きな女の子は穏やかで人恋しく、小さな花や虫をルーペで見るのが好きでした。ただ、あまりに大きくて誰も気づいてくれません。大きな女の子は、自分のことに気づいてほしくて町に出ました。ところが、町は足の踏み場がなく、うっかりすると車や人を踏み潰しかねません。大きいことは生きづらいと思った大きな女の子は、ふたたび森に帰りました…
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Henkselirouva ja hänen koiransa Korkki

Heidi KöngäsHenkselirouva ja hänen koiransa Korkki


ヘンクセリおばさんは、湖畔の黄色い屋敷に一人で住んでいました。樫や楓の木々に囲まれ、庭には噴水があります。屋敷には部屋が七つもあって、同居人と呼べるのはネズミと噴水に住んでいるフナくらいで、友だちがほしくてなりませんでした。あるとき、湖を見ていたら赤い帆を立てた白いヨットが現れました。舵を取っていたのは、黒い犬のコルッキでした。ヘンクセリおばさんは、コルッキをミニバイクのドライブに誘いました。途中、隣人のマイッキの家に立ち寄って、ライ麦パンを買い求め、うっかり白い子猫まで連れて帰ってきてしまいました。子猫は道しるべの白い色をしていることからコンパスと名づけられ、コルッキとともにヘンクセリおばさんの黄色い家にしばらくやっかいになることになりました…
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Onnenpyörä

Timo ParvelaOnnenpyörä


小さなくまのピーにはアルゴンという友だちがいます。ある風の強い日、リンゴの木の下で二人はリンゴを眺めていました。けれどもリンゴはたった一つしかありません。風はどちらへリンゴを落としてくれるのか、ピーは考えました。ところが、アルゴンは、どちらにリンゴが落とされてもピーにあげるつもりでした。なぜなら、ピーがリンゴを好きなことを知っていたからです。
「リンゴはピーにあげようと思ってたんだ。だって、ピーはリンゴがぼくよりも好きだろ?どう?おいしい?」
「うん」…
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Auringon lapsia

Leena KrohnAuringon lapsia


スミレは、学校へ行く途中、きまってショーウィンドーの前で立ち止まる。ケーキ屋のデコレーションケーキもマジパンケーキも、本屋の色鉛筆も新刊の『月にふく風』も、朝の光にきらきらと眩しい。けれども、いちばん輝いているのは、スミレの住むアパートの向かいの花屋だ。店は古く、そして美しい。店主のミス・ホルスマは、スミレの叔母によると、いっぷう変わっていて、いつも花に話しかけている…
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Omakuvat

Riina KatajavuoriOmakuvat


自分は自分について何を知っているのか。いかにして自分を探し当てるのか。はたして自分は自分を正しく言い当てられるのか。フィンランド現代詩を代表する詩人リーナ・カタヤヴオリは、6作目となる同書で、第2回東京ポエトリーフェスティバル(2011年9月9日-11日 明治大学リバティホール)に参加する。神話へ、その彼方へというテーマのもとに、始まりに立ち返る…
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Jänis ja Vanki koulun penkillä

Jyrki KiiskinenJänis ja Vanki saavat kännykän


ある日、うさぎのヤニスは、しきりになにかに話しかけているサルを森で見かけました。サルは、きらきら光って音を立てる小さいものを手にしています。それは携帯電話でした。着信音が鳴り響き、森はめっきり騒がしくなりました。新しいものに目がないヤニスはケータイに浮かれ、かつての静かな森を思うあらいぐまのヴァンキはケータイ現象にうんざりします。フクロウも、ケータイに振り回されるサルやオオカミやブタやネズミを見て、森のこれからが心配でたまりません。森のみんなは、ケータイサンタと名乗る男から携帯電話をもらいました。ヤニスも、自分のケータイをついに手に入れ、電話のかけ…
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Jänis ja Vanki koulun penkillä

Jyrki KiiskinenJänis ja Vanki koulun penkillä


あらいぐまのヴァンキは、おっとりしてひっこみ思案。でも、ものごとをよく考えます。ただ、目の周りの黒いマスク柄やしっぽの黒いしましま模様のせいで、囚人にまちがわれて牢屋で暮らしたこともありました。ヴァンキが出会ったうさぎのヤニスは、そこぬけに明るく、悩みも心配もありません。ある日、ヴァンキは、はてしない宇宙のことを考えました。宇宙はどこで終わっているんだろう。なにからすべては始まったんだろう。なぜ、ぼくたちは食べたり、寝たり、生きていたりするんだろう。ヤニスは、まよいなく答えました…
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Kiitollinen sammakko ja muita satuja järviseudulta

Maria VuorioKiitollinen sammakko ja muita satuja järviseudulta


物語は、研究者の父アートスとサマーコテージで夏を過ごしていたユストゥスが、井戸に落ちて出られなくなったカエルの王さまを助けたことから始まります。助けてもらった恩返しをしたいと、カエルの王さまは豪華な料理を用意したり、サウナを焚いたり、コンサートを開いたり、名入りのカヌーをプレゼントしたりして、父子を驚かせます。見なれていたはずの静かな湖畔が、小さな生きものたちで賑わう神秘的な空間に変わり、一つの出来事は新たな一つとの関連性を持ちながら、物語は動的に展開してゆきます…
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Me Rosvolat

Siri KoluMe Rosvolat


ヴァイニオ一家の夏休みは、大事件から始まりました。家族で実家に向かう途中、泥棒に襲われたのです。泥棒は、金品以外の食べ物や着る物を盗み、さらには末っ子のヴィリヤまでかっさらってしまいました。盗んだのは名うての泥棒、ロスボラ・ファミリーでした。つまらない日常にうんざりしていたヴィリヤは、この予期せぬ事態に戸惑いながらも悪い気はしませんでした。父親のヨウニは口先ばかりで約束を守らず、母親のアンナは姉のヴァナモの肩をもち、ヴァナモはそれにあぐらをかいてお姉ちゃん風を吹かし、嫌気が差していたからです…
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Kemosynteesi

Jouni InkalaKemosynteesi


太陽の光が届かなくても、生命がうまれる場所がある。深海だ。地上では尖端から緑を光合成するけれど、地底では深部から有機物を化学合成する。熱水が噴出する割れ目には嫌気性の細菌が生存し、太古から脈々と密やかに生き抜いてきた。原始生命は闇から生まれ、死の危機に晒されながら、光を生みだした…
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Urpo ja Turpo Villissä lännessä

Hannele HuoviUrpo ja Turpo Villissä lännessä


クマのぬいぐるみのウルポとトゥルポは緑の家の二階の子ども部屋に住んでいます。ウルポはずんぐりしっぽのおとなしい灰色のクマで、トゥルポは冒険ずきのやんちゃな茶色のクマです。 二人は、緑の家に住む男の子と女の子が建てた西部の町が気になって遊びにいくことにしました。ウルポとトゥルポはカウボーイさながら、男の子と女の子の手袋に色鉛筆やボールペンや絵筆をさして、なりきって町を歩きます…
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Siirin jouluyllätys

Tiina NopolaSiirin jouluyllätys


もうすぐ待ちに待ったクリスマスです。お母さんとジンジャークッキーを焼くのを楽しみにしていたシーリですが、お母さんはインフルエンザにかかって寝こんでしまいました。お父さんは出張でクリスマスイブまで帰ってきません。シーリの家には、クリスマスプレゼントも、クリスマス料理も、モミの木もまだありません。ふさぎこんだシーリをかわいそうに思ったオット三兄弟は、シーリを喜ばせようとプレゼントやモミの木を買いに行ったり、ジンジャークッキーを焼いたりしますが、お金が足りなかったり、スパイスを入れすぎたりして、なかなかうまくいきません。そこで、三人はクリスマス募金を…
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Vladimirin kirja

Hannele HuoviVladimirin kirja


辺境の小村に木こりの息子として生まれたウラジーミルは、ある日とつぜん、父に先立たれ、母の細腕一つで立派な青年に成長します。唯一の財産である白い馬を大公に売って家計を支えてきた母も、ついに病に伏せ、病床で思いがけずウラジーミルは自分の生い立ちを知ることになります。父は村の領主であるウラジーミル大公の皇子であったこと、温厚な兄ルカの許嫁を白馬に乗って略奪したこと、その許嫁が母であったこと、はからずも自分が大公の血を引く者だったこと。自分は何者なのか、これからどこへ行き、何を探せばいいのか、ウラジーミルは悩みますが、類い稀なる治癒能力と予知能力を持つ森の魔女の助言を受け、「大いなる知を求めて」森を離れ、旅に出ます …
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Hilma ja täydellinen lemmikki / Hilma ja hyvä harrastus

Timo ParvelaHilma ja täydellinen lemmikki / Hilma ja hyvä harrastus


ヒルマは6歳の女の子です。弟のラウリと一緒の部屋で、本棚も、CDも、おもちゃも、ドアも、窓から見える景色もラウリと半分こしています。ところが、自分だけのものがほしくなって、7歳の誕生日にはペットがほしいと、お父さんとお母さんにお願いしました。ヒルマは、みんなから羨ましがられるような、たった一つしかない自分だけのかわいいペットがほしい、と思いました。まず思いついたのはゾウでした。ゾウは大きくてすてきだけれど、よく食べるゾウの"落としもの"も大きいので、ヒルマの手に負えません。アリだと手がかかりませんが、何万匹もいて、どのアリも同じに見えてつまりません。クマは冬眠するのでいつも一緒に遊べないし、白鳥は冬に南に渡ってしまうし、クジラは浴槽に入りません…
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Karuselli

Timo ParvelaKaruselli


回らないメリーゴーランドがありました。木製のライオンやキリンやシマウマやゾウは微動だにせずに乗り手を待っています。小鳥のウンニはあまりに小さくて木馬に乗れません。はやく大きくなって、木馬に乗って、回らないメリーゴーランドを動かしたい、小さなウンニは思いました。木馬を見上げる小さなウンニに、サギのオンニが声をかけました。小さなウンニと大きなオンニは体の大きさは違うけれど、二人とも同じものを待っていました。時間です。小さなウンニは成長の時を、大きなオンニは南に渡る季節を待っていました …
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Nepi ja paras koiravahti

Tittamari MarttinenNepi ja paras koiravahti


コーギー犬のネピは、仕事で家を留守にするご主人にかわって、散歩に連れて行ってくれる人を探すことになりました。ミス・ヒースクネンは、ほえちゃダメ、走っちゃダメと、いろいろと口うるさくてかないません。B棟のプーッポネンは、ソファにだらしなく寝そべって、パソコンにかじりついたまま動こうとしません。かわって、アスリートのアーッコネンは、さっそく外に連れだしてくれますが、ハードな散歩にネピはくたびれます。定年退職した元薬剤師のティーナの散歩では服を着せられて、ネピはうんざりします …
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Voi vallatonta

Esko-Pekka TiitinenVoi vallatonta


ある森に、王冠をいただくクマがいました。森の小さな住人たちから、温かくて厚い信頼をうけている森の王さまです。冬をまえに、あたふたし始めたリスやウサギやイノシシに、今のうちからしっかり食糧を貯えて、冬の色に衣替えするように、クマは助言しました。王冠をかぶって以来、クマは助言することに追われておちおち冬ごもりもできないでいました。そこで、しばらく休みをとることにしました。森でばったり会ったキツネには、「みんながひとりで考えられるようになったらもどってくる」と告げ、立ち去ります …
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Ahaa! sanoi Pikkuruu

Hannele HuoviAhaa! sanoi Pikkuruu


子リスのピックルーは、お母さんとブルーベリー摘みに森に出かけることになりました。ブルーベリーを摘んでいたら、ピックルーはつぎからつぎへと森のなかまたちに出会います。ズアオトリの歌声に歌手もいいなと思い、池の畔のカエルの飛びこむ姿を見て自分も泳ぎたいと思い、マスクラットが家を建てる手伝いをしながら大工さんもいいなと思います。ウサギの走りにランナーを思い、キツネが子ギツネに読み聞かせをしている様子を見て語り手になりたいと思えば、耳をぴんと立てて周りを警戒しているヤギに会ってじぶんも聞き手になりたいと思います …
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Risto Räppääjä ja kuuluisa Kamilla

Sinikka & Tiina NopolaRisto Räppääjä ja kuuluisa Kamilla


学校がスキー休暇に入った2月、リストのガールフレンドのネッリは田舎に帰り、リストはひとり退屈を持てあましていました。そこで、ラウハおばさんは、リストと同い年の子どもをもつ友人を電話帳で探してみたのですが、リストは「ネッリがいい」と言って聞きません。暇つぶしにテレビをつけると、全国ちびっこのど自慢の決勝の切符を手にした天才子ども歌手カミッラが映っていました。インタビューに答えていたのはラウハおばさんの旧友、カミッラの母ビルギッタと父パシ=ペッカでした …
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Ainon vuosi

Kristiina LouhiAinon vuosi


クリスティーナ・ロウヒは、フィンランドを代表する児童書の挿絵画家です。これまでに、児童書イラストに功績を上げたイラストレーターに贈られるルドルフ・コイヴ賞、フィンランディア・ジュニア賞、最優美書籍賞などを受賞しているほか、国際児童図書評議会(IBBY)オナーリストにも挙がるなど、海外でも高く評価されています。数々の作品の中でも、娘の誕生をきっかけに書き下ろした幼年向けの人気絵本 …
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Hippiäinen ja hyvän päivän sadut

Esko-Pekka TiitinenHippiäinen ja hyvän päivän sadut


鬱蒼とした森の奥深くに小さな木がありました。そこに、黄金色の王冠をいただくキクイタダキが巣を作りました。スズメよりも小さく、手のひらの半分にも満たないその鳥を、ワシやカラスは、「ちっぽけなやつだ」とバカにします。小さくては生きていけないのか。小さくては何もできないのか。キクイタダキは苦しみ、悩みました。すると、その小さな声を聞いていた太陽が答えます。キクイタダキの黄色い冠羽は太陽から授かった光の色であり、光を必要とするところに届けることができる証なのだと言われたキクイタダキは、目に見えるすべてのものに喜びを感じるようになりました …
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Villapäät

Esko-Pekka TiitinenVillapäät


ティンッパは都会に越してきた15歳の少年です。これといって打ちこむことも見つからない平凡な学校生活が、ある日の授業で一転することに。音楽の先生が若い頃を思い出しながら弾いたナンバーに感化され、ミュージシャンという夢を抱くようになります。バスの運転手の父と掃除パートの母の家庭にはギターを買う余裕はないけれど、息子の何かをしたいというたっての願いに、祖母の手伝いで稼いだバイト代の不足分を出してくれました。ティンッパは手に入れた中古のギブソンをつま弾きながら、バンドへの期待を膨らませます …
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Lintu ja poro

Esko-Pekka TiitinenLintu ja poro


ラップランドにまもなく冬が来きます。南へ渡るはずだったホオジロが、森の外れに降り立って、光差す朝を待つ年老いたトナカイに出会いました。いっしょに南へ行こうと誘いましたが、トナカイはこれから遠くの美しい国へ行くのだと言って動きませんでした。憂いを浮かべるトナカイを、一人のこして飛びたてず、ホオジロはトナカイの傍で冬を越そうと決心し、トナカイの毛皮のなかに身を寄せました…
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Maukka ja Väykkä

Timo ParvelaMaukka ja Väykkä


空と森をわかつ丘の上に立つ空色の家に、猫のマウと犬のバウは同居しています。夢見る気まぐれロマンチストで理論家のマウと、毎日の畑仕事に精をだす忠実なリアリストのバウは、起きる時間も、好きなものも、考え方も違います。 トマト品評会に出品するためにバウが丹精こめて育てたトマトを、マウが自分の一万ピースパズル完成祝いにトマトソースにしてしまったり、バウの釣りの仕方に横から口だし…
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Satu ja pä ärynäpuun Pyrre

Anna GullichsenSatu ja päärynäpuun Pyrre


夏やすみが始まった六月、サトゥはシモネおばあちゃんの家に遊びに行きました。川をのぞむ丘のうえに立つ、青い窓枠のベージュ色のシモネおばあちゃんの家は、リラの茂みに囲まれています。 シモネおばあちゃんはフランス生まれで、庭師のクイスマおじいちゃんと結婚しました。クイスマおじいちゃんはもう亡くなりましたが、庭は草花が四季をとおして咲き誇っています。クイスマおじいちゃんの墓前に植えたパンジーの花を見ると、シモネおばあちゃんとサトゥは、はらはらと涙をこぼしました…
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Siiri ja kamala possu

Tiina NopolaSiiri ja kamala possu


シーリは明るくておちゃめな女の子。ひとりっ子のシーリは、おとなりのオット三兄弟(ちびオット、まんなかオット、おおきいオット)と仲よしです。シーリには、オット三兄弟のほかに、たいせつな遊び仲間がいます。ウサギのぬいぐるみのププです。 ある日、ププのお腹に大きな穴があいて、中綿が飛びだしてしまいました。もとどおりに直すのはむずかしそうです。すると、おおきいオットが小児科病院に電話をかけてくれて、みんなでププを病院に連れていったのですが、お医者さんから「ぬいぐるみ病院」を紹介されました…
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Kultamarja ja metsän salaisuudet

Leena LaulajainenKultamarja ja metsän salaisuudet


あるところに、青い雪の降る村がありました。太陽は彼方から昇って沈んでゆくのに、その村まで光が届きません。雪がとけない村の子どもたちは、ふしぎなことに年を取りませんでした。 そもそも青い雪が降りはじめたのは、村の少年レイダーの父親が行方不明になってからでした。レイダーの父親は、光る石が採れる井戸を守っていた森の番人でした。森の番人の失踪とともに青い馬が現れて、村の入り口で番をするようになりました。ところが、青い馬がうたた寝しているときだけ日が射して、子どもたちは雪の城や雪だるまをつくって遊びました。光をうけた雪面は青から金色に輝き、氷の張った泉はとけて小動物たちの喉を潤しました …
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Nokikätkön ritarit ja Kuuhiisi

Riikka JänttiNokikätkön ritarit ja Kuuhiisi


元気で愛くるしいリスのノコは、ヒーリヴオリ村の大きなカエデの木の家に住んでいます。カエデの木の家は昔からあって、ノコが住む前にも、たくさんの住人が出入りしていました。家もずいぶん古くなりました。夏も終わりに近づいた八月、ノコは兄のヴィリから台所の天井を塗り替えるように言われます。いっしょに住んでいるおっとりマイペースのトイヴォと、ペンキ塗りのアルバイトにやって来たちょっぴりこわがりなネズミのイーリスと、台所の大掃除からはじめました。カエデの木の家のいちばんの自慢はレンガ造りのストーブです。冬に火を入れると、家中が暖まります。ただし、ストーブの扉は開けないようにとヴィリから言われているので、掃除もできません。ヴィリはとにかく指図ばかりして、ノコは不満でした…
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Hirmuista koulupäivää, Hirviö

Suna VuoriHirmuista koulupäivää, Hirviö


ちびのモンスターはなかなか寝つけません。お父さんモンスターの作ってくれたコウモリの夜食は胃にもたれ、お母さんモンスターが読み聞かせてくれたお話は頭にはいらず、なんだかそわそわしています。そうです。ちびのモンスターは、明日からモンスター学校に上がるのです。登校初日の朝、「歯や爪はぴかぴかに研いだの?学校までひとりで行ける?」と聞くお母さんモンスターは心配そう。お父さんモンスターは、「まともなモンスターになるために学校に行くんだよ」と言いながら、森の外れまで見送りました…
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Ilvekset kuin veljekset

Petra HeikkiläIlvekset kuin veljekset


オットは、テンテン模様が大好きな北国うまれのオオヤマネコです。今は、常夏のテンテン森に住んでいて、ヒョウの両親のもとで暮らしています。お父さんのレオ・バルドとお母さんのサルサ・バルドはどちらも詩人で、日がな一日、木のうえで過ごして詩を書いています。ある日、オットは、自分とおなじ模様の兄弟がほしくて、「ぼくにうりふたつの兄弟がほしい!」とお願いしました…
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Prinsessan siivet

Kaarina HelakisaPrinsessan siivet


王女が病気になりました。それまで王国では、畑は豊かに実り、森に緑が生い茂り、幸せな光に包まれていました。王女が病に伏せてから、雨はひたすら降り続け、雲が垂れこめました。 王さまは、国中の医者という医者を集めて、熱にうなされる王女をなんとか治そうとしますが、王女はいっこうに目を覚ましませんでした。ある日のこと、よその国から男性が城を訪ねてきました。髭をたくわえ、ぼさぼさ頭にソフト帽をかぶり、小脇に鞄を抱えていました。自分が置いていく贈り物に満足するなら、王女の病気を治すと言うのです。王さまとお妃は、王女に元気になってもらいたくて承知しました…
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Urhea pikku Memmuli

Mervi LindmanUrhea pikku Memmuli


メンムリちゃんにはこわいものがたくさんあります。トイレにすみつくワニ、イチゴスープのなかのオバケ、それから泡風呂にいるぶくぶくモンスター。でも、メンムリちゃんは「こわくないもん、メンムリはもう大きいもん」と強がります。部屋の明かりが消えたとたん、影が大きくなってゆらゆら動きだし、ベッドの下からがさごそ音がしはじめました。あまりにこわくて、メンムリちゃんはどんどん小さくなりました。小さくなって、ドアのすき間から逃げだして、風にさらわれて、窓から外に飛んで行きました。小さくなったメンムリちゃんは、人ごみに踏まれそうになり、高い建物や行き交う車にとまどいます。しかし、メンムリちゃんはこわいと言えません…
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Valeikkuna

Leena KrohnValeikkuna


「私」はアイソレーションタンクでカウンセリングを行っている哲学者だ。外界からの感覚刺激を遮蔽した容器の中で、エプソムソルト水に浮かびながら、一日のほとんどを過ごしている。このタンク生活は、高血圧の「私」を案じて、前妻ベッタのかかりつけの医者に勧められたのがきっかけだった。耐えがたい睡眠発作も理由の一つかもしれない。ナルコレプシーという居眠り病のせいで、美術館の監視員のバイトはクビになり、大学は及第し、論文「残像の実在化」も未完成のままに終わってしまった。普段感じている光や音や重力から解放され、現実を断ち、睡眠と覚醒に揺れながら「私」は考える。最後に残るのは思考であり、イメージこそが現実であり、本当に在り続けるものは無なのだと…
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Kerppu ja Tyttö

Sari PeltoniemiKerppu ja tyttö


自分だけの友だちがほしいと思う小さな黒い犬のケルップ。ケルップの誕生日に送られてきた大きな箱の中に入っていたのは、黒髪のかわいらしい人間の女の子でした。ケルップは、とても嬉しくなって、女の子をヘリナと名づけます。ところが、ヘリナはケルップの思いどおりになりません。骨のガムは食べてくれないし、飲み物はマグカップでしか飲まないし、夜になるとホームシックになって泣きだすヘリナに、ケルップはてんてこまい。一緒に散歩していても、ヘリナは自分のところから離れて、車や自転車のところに駆けよったり、ほかの子どもと遊んだりして、言うことを聞いてくれません。ついにケルップはヘリナを頭ごなしに叱ります。すると、友だちのダックスフントのアッフェに「ヘリナは人形じゃないよ」と言われて、様子を見ることにしました…
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Rebekka ja talven taikaa

Tuija LehtinenRebekka ja talven taikaa


町に越してきて初めての冬休みになりました。牧師の父は教会の仕事で慌ただしく、母は高校で美術を教えながらブリーダーの仕事や教会の仕事をこなしています。秋に生まれたベッティナとダイアナの十匹の小犬たちは、すべてもらい手がつきました。そのうちの一匹は、夏の王子さま、ジェリーのもとへ引き取られました。兄のモーセは、教会の塔を陣取って曲づくりに夢中で、堅信キャンプで意気投合したドラムのオッリとキーボードのルプスとボーカルのヘタの四人でバンドを組んで、コイランプトキというバンド名で本格的に活動を始めました。オッリが将来のお婿さんだと心に決めている妹のセルマは、自分の誕生日パーティにオッリの母でクラスの担任のティーナを呼ぶつもりです…
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Orava ja pääskynen

Hannele HuoviKarvakorvan runopurkki


犬のぼくは、詩が大好物。骨よりおいしい詩をもとめ、冒険の旅にでます。ぐるりとまわりを見わたせば、世界はふしぎなことだらけ。ぴんと耳をそばだてて、くんくん匂いをかいでみて、宇宙を味見してみよう…
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Orava ja pääskynen

Maria VuorioOrava ja pääskynen


秋も深まって、森では冬支度が始まりました。リスはリンゴや木の実やベリーを貯えて、冬服へ衣替えしようと思っていたところでした。そんなある日、リスは仮死状態のツバメを見つけました。このツバメは、ほかの仲間の渡り鳥と南へ行くことができずに森に取り残されていました。リスは、モミの木に建てた自分の家に連れて帰り、苔の毛布をかけて暖めました。献身的なリスの世話のおかげで目を覚ましたツバメは、未知の「冬」に出会い、逃げだしたいと泣きだします。リスにとってはよく知っている冬が、冬が初めてのツバメには恐ろしくてたまらなかったのです…
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Taivaanpojan verkko

Hannele HuoviTaivaanpojan verkko


色にはそれぞれ物語があります。白にも、青にも、緑にも。黄にも、赤にも、オレンジにも。空から落ちたわた雲は湖畔にそっと咲くワタスゲになり、太陽の子どもは空から緑の春を釣りました。青い瞳に青い服を着た少女シニッカの思い出や、母なる大地の恵みをうけて太陽を称えるために咲いた黄色いタンポポの記憶。紅葉がオレンジなのは、空のコックが秋に太陽のスープを注ぐから…
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Miinalan Veikon nyrkkeilykoulu

Hannele HuoviMiinalan Veikon nyrkkeilykoulu


ヘンリ・マウスはちょっと臆病なネズミの男の子。なんでも「しかたないや」ですませてしまいます。ヘンリのお父さんはフェザー級のボクサーで、こんどの試合で、チャンピオンのザリガニ・ノックと闘うことになりました。お父さんは毎晩のようにヴェイッコ・ファイトのボクシングジムに通っています。友だちのバッテリー・アッテも通っていて、ヘンリも気になりはじめました。ヴェイッコのスパーリング相手になりたいというヘンリのために、お母さんがヘンリのために魔法のグローブを縫ってくれました…
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Pyhän Vituksen tauti

Panu TuomiPyhän Vituksen tauti


見えたままが果たしてありのままなのか。すべては、カメラ・オブスクラのように、小さなピンホールから投じられて映しだされた影像なのかもしれない。暗い部屋は、まるで洞窟。そのなかで、「塵はもろもろの影の肉体」となり、「混沌が名づけられる」 …
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Kotini on Riioraa

Leena KrohnKotini on Riioraa


時は1955年。動物好きの小さいパウリ、科学者を夢みる大きいパウリ、車いすに乗ったライヤ、大人になりたくないルス。村の子どもたちの特別な場所は、毎週土曜日に集まる小さなランプ屋でした。そこは、子どもたちのとっておきの遊び場でした。ランプ屋は、村外れの墓地と教会の近くにありました。 「人間には知の光も必要だ。教養は人類のもう一つの太陽だよ」というランプ屋の主人の店の客足は多くなく、月に一度、客の出入りがあるかないかでした。珍しくて高級なランプばかり置いてあるけれど、それを買いにくる客もいまし …
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Suurkontio Tahmapää

Hannele HuoviSuurkontio Tahmapää


おおきいくまのタハマパーは、森の中の嵐で倒れたモミの木の下に住んでいます。力もちでおだやかでやさしいくまです。もちろん、人間は食べたりしません。食べるのはベリーとハチミツで、大好物は大きなソーセージです。ときどき、ゴミ箱に捨ててあるソーセージを拾うので、それを目撃した人間に警察へ通報されたこともありました。「どうやら人間はじぶんを恐がっているみたい」と、タハマパーは考えます。タハマパーの家に、元気のいいりすのタンッピと、つんつん針をもったはりねずみのヴェイッコと、かっこいい角をもったヘラジカのイーロが訪ねてきました。そこで、タハマパーは「みんなで友だちになろう」と提案しました。しかし、「友だちってなんだろう」とみんなは頭をつきあわせて考えます…
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Emilian päiväkirja Supermarsu lentää Intiaan

Paula NoronenEmilian päiväkirja Supermarsu lentää Intiaan


十一歳の少女エミリアは、老人ホームで看護士をしている母親とヘルシンキで二人暮らしです。いつも一人ぼっちで留守番をしているエミリアに、母親はモルモットを買ってきてくれました。ちっちゃなモルモットに大きくて強い名前をつけようと、憧れのフィンランドのハロネン大統領にちなんで、モルモットにハロネンという名前をつけました。指を噛まれたある日の晩、エミリアはいっぷう変わった夢を見ます。夢の中に、ティアラを戴いたダイアナ妃ふうのジャイアント・モルモットが現れて、こう告げました…
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Rebekka ja kesäprinssi

Tuija LehtinenRebekka ja kesäprinssi


赤毛の三つ編みにそばかす顔のレベッカは、明るくて天真爛漫な一三歳の女の子。新学期が始まる秋を前に、家族みんなで住み慣れた小さな島から町へ引っ越してきました。牧師の父と画家の母、そして、兄と妹二人に小犬たちが、レベッカ・ピリネンの家族です。母親は小犬のブリーダーもしていて、ドッグショーに余念がありません。兄のモーセスは世界的ギタリストを夢みてつまらない毎日に反抗し、中国から国際養子縁組したセルマとサイマは遊ぶことが大好きないたずらっ子で手を焼いています…
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Ella ja kaverit 1-3

Timo ParvelaElla ja kaverit 1-3


小学一年生のエッラには、楽しくてゆかいなクラスの仲間がいます。もの知りトゥーッカ、泣き虫サンッパ、ちょっぴり鈍感なパテ、しっかり者のハンナと、ふつうだけど侮れないティーナです。そして、いつもおろおろしている担任の先生。 先生は、ある手紙をきっかけにがらりと変わりました。宿題をよく出すしっかり者だったのに、無精ひげを生やしてあやしい行動をとるようになりました。エッラたちは、先生がもらった手紙は脅迫状だと推理します。手紙には切手が貼っていなかったので、学校関係者かもしれません。教え方に不満な校長先生?身代金を要求する管理人さん?Bクラスのいじわるな女の先生?ハゲ頭の体育の先生?それとも、小柄で気難しい英語の先生?…
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Einsteinin viimeiset sanat

Panu TuomiEinsteinin viimeiset sanat


1955年4月18日、アメリカのニュージャージー州プリンストン大学病院で、アルベルト・アインシュタインは息をひきとった。粒子と波動の光の二重性から量子力学の道を拓き、観測者と共にある時空間を相対性理論で展開し、あらゆるものへ謙虚と畏怖を忘れぬために万物の統一理論を究めようとした、アインシュタイン。彼が、最後に残した言葉はなんだったのか。座標も軌跡も確実に測れない真理のように、アインシュタインの最後の囁きは永遠の謎に包まれてしまった…
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Siiri ja Kertun kirppu

Tiina NopolaSiiri ja Kertun kirppu


明るくておちゃめな女の子シーリは、おとなりのオット三兄弟(ちびオット、まんなかオット、おおきいオット)と音楽教室に通うことになりました。 ちびオットはマラカス、まんなかオットは太鼓、おおきいオットはフレンチホルン、そして、シーリはリコーダーを選びました。 そこに、オット三兄弟のいとこのケルットゥがやって来ます。あいかわらず、ぼさぼさ頭に泥だらけの服のケルットゥ。今回は、黄色い箱に「ノミ」を持ってきて、みんなをあっと言わせます。ところが、肝心の「ノミ」が逃げてしまい、ケルットゥは「たった一人の友だち」を失ってしまったことに落ちこみます …
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Mutta kuvittelin että sydän ei tunne rajoja

Tua ForsströmMutta kuvittelin että sydän ei tunne rajoja


魂が自在に自由に躍動する場所はどこなのか。それは「雨降る庭」、それは「夜の檸檬の木」、それは「内なる熱帯雨林、石、ゆっくりとたゆたう水」だ。そこは「水路が出逢い、緑が渦巻き、波が全方向から吹いてくる」。流れる水のように、詩は止まることなく、閉じることなく、つかみきれない無限を目ざす。日常の瞬間や自然に触れた平明な表現ながらも、夢のような霧のような根源に根ざしたものがある。おとずれた存在に共鳴せずにはおれなかった「素朴な琴」のような明澄で…
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Suurkontio Tahmapää rakentaa

Hannele HuoviSuurkontio Tahmapää rakentaa


大きいくまのタハマパーには、頼もしい友だちがいます。りすのタンッピ、はりねずみのヴェイッコ、へらじかのイーロです。大きいくまのタハマパーは、古くなってしまった家を建て直そうと考えます。そこで、みんなは、それぞれの理想の家について意見を出しあいました。りすのタンッピは下り苔の家、はりねずみのヴェイッコは葉っぱの家、へらじかのイーロはレンガの家、大きいくまのタハマパーは丸太の家と、みんなは自分の意見を譲りません。しかし、家に住むのはタハマパーだということに気がつくと、みんなは仲直りして、タハマパーのために知恵を出しあいます…
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Noksu ja päivän sää

Mikko KunnasNoksu ja päivän sää


アヒルのノクスが、ミツバチの友だちのヌピにせかされて、今日の天気のことを想像しながら朝の支度を整えます。ベッドから起きて、ごはんを食べて、歯みがきして、トイレに行って、着がえるまでの楽しい時間が、コミカルに描かれた「ノクスとヌピ」シリーズ第一弾。アニメーターとして活躍しているミッコ・クンナスらしく、ヌピの吹き出しやユーモラスな音喩も、絵本に弾みをつけています。同シリーズは …
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Minkä tietäminen on ihmiselle välttämätöntä

Jouni InkalaMinkä tietäminen on ihmiselle välttämätöntä


生は、相反するものが衝突し、片割れを振りきった上に成る。しかし、新たな生は、不断にジンテーゼを求めて現在を生きてゆく。ますます差異化し、ますます変容し、無限に深く遠のいてゆくけれど、自分らしく在らしめるのは、「神聖な低音」であり「直観」である。人間のもっとも深遠なるものは、はかりしれない。根底から血をめぐらせ、生を方向づける …
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Maunon kaupunki

Katri TapolaMaunon kaupunki


マウノは都会のマンション暮らし。ママは自由気ままに絵を描いて、いつかは畑と馬をもって田舎に住みたいと夢みています。ママとはちがって、マウノは都会にひそむ動物を追いかけて、シティ動物学者と名のるほど。そんなマウノの朝は早いのです。どこでシティ動物にばったり会うかわかりませんから。カメラをさげて、メモ帳を持って、まずカメラに収めたのは、古いタンスのランプの陰にひっそり隠れたベルト蛇…
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Tyhjyyden ympärillä

Aki SalmelaTyhjyyden ympärillä


ここに座る。石の隣に。石がそこに在るために。しかし、なぜ石なのか。名づけられようとおもねず、ただ在る。ただそこに在り、それだけで、いかに自らを充たしていることだろう。すべてはイメージのようなものであり、抽象されたものである。充たしているものは無である。生とは、今ここに在る、現在だろう。一人では誰でもない。誰かで在るときにはもう、私たちは考えている…
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Ketunpoika ja suuri varjo

Katariina LempinenKetunpoika ja suuri varjo


沢の上流に松の木があります。その根もとにきつねの家族の巣穴がありました。母ぎつねと三匹のこぎつねが仲よく寄り添って眠っていたある晩、一匹のこぎつねが目を覚まし、巣穴から昇るお月さまにそわそわして、出かけたくなりました。 穴から外へ踏みだすと、雨に濡れた地面に足をすくわれて川に転げ落ちてしまいます…
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Akuvatus ja muita härveleitä & otuksia

Helena SinervoAkuvatus ja muita härveleitä & otuksia


ディノサウルスの卵と魚の骨のひそひそ話、気になります。夢にうなされたら、月の光を浴びましょう。行き詰まったらペリコプターにひょいと乗り、クリスマスの取り扱いならクリスマスマシンに任せましょう。庭の妃の雑草禁止令に風の女王が種を蒔き、木々のバンドは市場で結成。さて、そのメロディーは…
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Unikon satuja

Marjattta KurenniemiUnikon satuja


今夜も四人の子どもたちは眠りの精を待っています。車のおもちゃに夢中の兄のユハニ、お気にいりの人形リーサと遊ぶことが大好きなリーッタ、ママのお古のバッグとお菓子に目がない妹のテュッティ、そして、よちよち歩きのやんちゃな弟ピックベリ。コンコンと窓を叩いて現れたのは、きらきら輝く透明のドレスを着た小さな女の子、眠りの精のウニッコでした。ウニッコが架けた光るはしごを伝って、四人は地球を離れ、青い宇宙を渡り、月にたどり着きます。ウニッコが案内したその場所は、よい夢の国でした…
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Milla ja pohjaton pyykkikori

Salla Savolainen & Hannu SavolainenMilla ja pohjaton pyykkikori


待ちに待った夏休みが始まりました。ミッラはママと遊園地に行くはずでした。ところが、ママは着ていくものがなくてその場にバタンと倒れてしまったのです。上の階のお医者さんから安静にするようにと言われ、ミッラはがっかり。そんなミッラの目の前に妖精が現れて、ミッラに魔法の袋を手わたしました。魔法の袋は、ほしいものをどんどん増やしてくれるというのです。ママのクローゼットに入れるつもりが、服と一緒に洗濯かごにうっかり置き忘れてしまいました。おかげで、せっかく元気になったママも、洗っても洗ってもいっこうに減らない洗濯物に追われることに。やることがどんどん増えて、処理しきれなくなってゆく日々に…
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Joulupukintarina

Paula HavasteJoulupukintarina


「一年に一度だけ魔法が使える。わたしはその日に世界の子どもたちに喜びと思いやりを伝えるんだ」と、白い髭を蓄えたフィンランドのサンタクロースのヨウルプッキは、大いなる使命を語ります。ヨウルプッキは、フィンランドのお耳の山に住んでいます。子どもたちの良い行いや願い事は、お耳の山に降ってくる雪片が運んでくれます。魔法が効くのはクリスマスの一晩だけで、誕生日のお祝いで授かったお守りのオーロラ・ストーンのおかげです。その日以外は、子どもたちへのプレゼント作りや日々の仕事に精をだす普通の人と変わりません。ただ、ヨウルプッキは動物の言葉がわかり、大いなる使命に気づいてからは年もとらなくなりました…
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Joulutarina

Marko LeinoJoulutarina


夏も終わりに近づいたある日、トンミとオッシの兄弟は、海に沈んでいた鍵のかかった古びた小箱を見つけます。飾り文様の美しい細工木箱の中にあったのは、壊れた銀の懐中時計と、「大切なアーダへ。メリークリスマス。兄のニコラスより」と書かれた一枚の手紙でした。遥か遠い昔、フィンランドのお耳の山の下流の漁師村「耳の川」近くの島に、ニコラス・プッキは、漁師の父エイナリと母アレクサンドラと妹アーダと貧しいながらも幸せに暮らしていました。クリスマスに満一歳になるアーダが高熱を出し、村の医者に診てもらうために嵐の夜に舟を出した父と母はアーダとともに還らぬ人となり…
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Isä, lähdetään sieneen!

Markus MajaluomaIsä, lähdetään sieneen!


ルースマキ家のパパが車を買いました。オッシ、ヴァイノ、アンナマリのルースマキ三兄弟は、お隣さんのプトゥケラおじいさんの門扉でバスごっこをしながら、パパの帰りを待っています。プトゥケラさんが子どものときは馬が車の代わりで、馬に乗ってきのこ狩りに森へ行っていたという話に、みんなは大はしゃぎです。 そこで、パパの新車できのこ狩りに行くことになりました。ところが、森でクマに遭遇したと思いこんだパパは森ではぐれてしまいます。プトゥケラさんと三人の子どもたちは、車のなかで避難してパパを待つことに…
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Isä, lähdetään saareen!

Markus MajaluomaIsä, lähdetään saareen!


ルースマキ家には、わんぱくでおもしろいことが大好きな三人の子どもがいます。長男のオッシ、弟のヴァイノ、妹のアンナマリです。三人は、パパと遊びにいくのをとても楽しみにしています。仕事でくたくた、髪はぼさぼさ、服はよれよれのパパですが、ボートの陸揚げを見に港に連れていくことにしました。港で石はねをしていたら、パパの投げた一石がボートを漕いでいるおじいさんの頭に命中してしまいます。ひょんなことからおじいさんからボートを譲り受け、みんなで島に行くことになりました…
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Helmi

Hannu MäkeläHelmi


もうすぐ小学二年生になるハンナは、おかあさんと二人で暮らしています。おかあさんはいつもパソコンに向かって、フィンランド語に訳す仕事をしています。おとうさんはいつもハガキをくれるけど、帰ってこなくなりました。夏になると、実家でいつも遊んでくれていたおばあちゃんはもういません。仕事をしているおかあさんの表情は暗く、悩んでいるようすです。 ひとりぽっちのハンナの心にずっと寄り添ってくれたのは、小さな白いウエスト・ハイランド・ホワイトテリア犬のぬいぐるみのヘルミでした …
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Jäniksen housuissa

Maria VuorioJäniksen housuissa


好奇心旺盛で面倒見のいいウサギは、編集長のジャコウネズミに勧められて新聞社に務めることになりました。家の老朽化で引っ越しを検討中のモモンガのために家探しの記事を掲載したり、遠方からやって来たカバを取材したり、カバのために歓迎パーティを開いたり。歓迎パーティでは、森の住人たちが顔をそろえます。郵便配達のガチョウ、通販好きのネズミ、音楽のコマドリ先生、印刷屋のリス、フクロウ校長先生、ハリネズミ調理長。貴賓客のタカは、ハリネズミのアシスタントとして立ち働くことに…
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SAKSET

Laura LindstedsSakset


独身でキャリアウーマンのマーミは、中国から女の子を国際養子縁組する。そのための準備も環境も時間をかけて整え、手続きも問題なく処理される。しかし、母と子の距離はいっこうに縮まらない。娘となったというのに、ますます二人の距離は離れて他人になってゆく。思い描いていた幸せな親子の生活とはかけはなれた現実に、マーミは絶望と不安と失敗への恐れを感じはじめる…
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Räppääjä ja viimeinen tötterö

Sinikka Nopola & Tiina NopolaRisto Räppääjä ja viimeinen tötterö


クッキーアイスはリストの大好物。それをミスター・リンドベリが食べてしまいました。そのアイスは、製造販売中止となってしまい、近所のどのお店にも置いてありません。ところが、北カレリアのホルヤッカに残っているということを聞いたミスター・リンドベリは、ラウハおばさんとリストとネッリを引き連れて、ホルヤッカ行きの始発の列車に駆けこみます。リストとネッリは、車両内で襟を立てた怪しい革ジャン男に出会います。二人は、革ジャン男が書きつづるメモ帳が気になってしかたありません。そこには、「クッキー作戦」と書かれており、どうやら宝石が隠されたアイスを狙っている…
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Miksi emme totu pystyasentoon

Sinikka NopolaMiksi emme totu pystyasentoon


世の中には、増えてゆくモノでいっぱいだ。過剰な情報と加飾するライフスタイルに、人間の寿命は追いついていかないかもしれない。人口、飢餓、埃、車、犯罪は増え続け、贅沢品は多様に展開し、Eメールとインターネットで生活リズムは加速する。しかし、その一方で、消えてゆくものもある。靴屋、商店、自分の顔、匂い、田舎の人びと。最近の若者は、素材を知らない、素材恐怖症だ。肉や魚は昔から変わらず食べるのに、でき上がったものしか食べなくなった。生鮮売り場で素材を選び、家に帰って肉をさばき、魚をおろすこともない…
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Surusaappaat

Päivi FranzonSurusaappaat


レーズンみたいなしわくちゃな頬。ネズミのしっぽみたいに長い髪。エーミの大好きなおばあちゃん。庭の老木に吊るしたブランコに乗っておばあちゃんと風を切ることも、時間を忘れておばあちゃんと湖岸で魚釣りすることも、おばあちゃんの死とともにできなくなります。エーミの深い悲しみは、黒い塊となって、胸にずしりと重くのしかかります…
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Revontulilumi

Riitta JalonenRevontulilumi


冬が巡ってきました。サリは、スキーを履いて疾走する列車を見送ると、氷の張った湖へ踵を返します。おとうさんが生きていたころ、よくシーツを持って湖へ急ぎ、それで船を作って遊んだのです。湖から見た森はとても不気味です。けれど、サリは鉄道と湖を後に残して奥へ進みました。森のなかで見つけた廃屋を抜け、暗い洞窟を越え、最後に目にしたものは緑や青や赤に煌めくオーロラでした …
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Kumpulaakson Pompom löytää ystävän

Nina PirhonenKumpulaakson Pompom löytää ystävän


まあるいおうちに住むうさぎのポンポンちゃん。おばけがいるという、こだまのお山のむこうにある苔の森にちょっと冒険します。道なりに生えた綿あめをおべんとうに、いざ出発。苔の森のくねった道に帳が降りて、なにかが起こりそうな予感。ポンポンちゃんの胸も、期待と不安でふくらみます。ほんとうにおばけはいるのかな。おばけはとってもこわいのかしら …
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Kisun ABC

Katja TukiainenKisun ABC


みゅうちゃんはとても早起きです。早起きするととてもよいことがあります。 お天気なので、ピクニックに出かけることになったみゅうちゃんは、たくさんの出会いをします。バナナ、とうがらし、イルカ、ぞう、ファラオ、チーター、パンダ、夢、影、ミスターX、そして、しあわせなきもち・・・。みゅうちゃんにとって、毎日があたらしいこととの出会いです。そして、出会いは学びです…
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Hulda ja Jalmari

Markus MajaluomaHulda ja Jalmari


パパのヤルマリと娘のフルダは、公園へ出かけることになりました。ヤルマリパパは懸命にあやすけれど、フルダちゃんはごきげんななめ。鳥を見ても、犬を見ても、馬を見ても、ブタのお面を買ってあげても、なんだか気に入らない様子です。ヤルマリパパの育児参加は、はたして上手くゆくのでしょうか…
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Kissa Killin kiukkupussi

Tove AppelgrenKissa Killin kiukkupussi


なんだかうまくいかないちびねこキッリは、朝からごきげんななめです。ネズミのおもちゃにつまずいて、朝ごはんも気にくわない。ものに八つ当たりするけれど、こみあげてくるイライラは収まりません。すると、押し入れからひょっこり出てきた小人のトンットゥから「かんしゃく玉」をもらいます。

「かんしゃく玉をぷぅとふいて、パンパンパーンと割ってごらん!」

キッリはトンットゥに言われたとおりにぷぅとふいてみました。すると、どうでしょう…
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Sov nu, Vesta-Linnéa!

Tove AppelgrenSov nu, Vesta-Linnéa!


5歳になるリンネアちゃんは、都会のアパートにママとパパとおにいちゃんのポール=アクセルと妹のヴェンドラと暮らしています。ある夜、リンネアちゃんは眠れなくなってしまいました。クマのぬいぐるみのサッサをぎゅっと抱きしめても、ママがいくら眠るまえの本を読み聞かせても、なかなか寝つけません。恐い夢を見てしまうからです。リンネアちゃんはママといっしょに寝ようとするのですが、リンネアちゃんの睡眠障害はママをも悩ませることになります…
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Nunnu

Oili TanninenNunnu


いつもは、てきぱきホップくんに起こされるのですが、きょうは、ぶつぶつムズカリくんの声に、ヌンヌちゃんは目を覚ましました。ねむの木にすやすや眠るヌンヌちゃんは、プリッリ教授の夢をまかされています。ところが、おしごと道具の「あくびのうちわ」が見つかりません。そこで、ホップくんのお店で、ねむりバエのサンテリを手に入れます…
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Pom pom

Anne PeltolaPom pom


わたしが描いた赤いまる「ポンポン」が、ちょっと冒険の旅にでます。ポンポンは、いろんなかたちに姿を変えたり、いろんなかたちの一部になったりします。赤いまるから、ピエロの鼻、風船、犬の毛の模様、お皿、こけもも・・・、いろんな瞳に出会って、ふたたび家にもどるお話です。いろんな赤いまるのかたちはあるけれど、でも、赤いまるって、いったいなんだろう?家にもどったポンポンは、また旅を続けます…
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Minerva Kukkia tohtori Kääkälle

Jussi "Juba" TuomolaMinerva Kukkia tohtori Kääkälle


ちっちゃな女の子ミネルヴァの冒険は、庭で段ボール箱を見つけたときからはじまります。「ダンボールばこは、そらをとぶからステキ!」と、ためらいもなく段ボール箱に乗って、山を越え、町を越え、ジャングルを越え、海をわたって、もうひとつの世界へ冒険の旅にでます。そこでは、なにもかもがいっぷう変わっていました遺伝子操作で世界征服をたくらむ「ドクター・ボギー」は、家来のワタリガラスとカエルを使って、よそ者のミネルヴァを捕えます…
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Siivekäs vahtikoira

Terhi UtriainenSiivekäs vahtikoira


死にゆく白髪の女性アリナと年若い女性カメラマンのカイサは契約を結ぶ。カイサは、アリナを説得し、死期をともに過ごしながら、その最期の日まで写真に収める承諾をえた。人は、いかにして生を記憶に留めるのだろう。そして、なぜ、留めたいと思うのか。カイサは写真を撮ることで、アリナのすべてを映したいと思う。絶えずシャッターを切って、瞬間をとらえることが、アリナの存在の証でもあり、また、シャッターを切るカイサの存在の証にもなりつつあった…
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Palava maa

Olli SinivaaraPalava maa


色彩は光の行為であるとゲーテは言った。しかし、色は、光を捉え、そのふるまいを感じる観察者なくして生成されない。生成とは、静的ではなく動的で、在ることよりも成ることである。ひとたび生まれた色は、光と共同しながら、燃え尽きようともかたちを残してゆく…
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Naisen paikka

Vilja-Tuulia HuotarinenNaisen paikka


フオタリネンの処女詩『ハサミをもって走ってはいけない(Sakset kädessä ei saa juosta)』(2004)では、大人へと成長する少女に強いられてくるさまざまな条件、不安、恐怖、そして葛藤を描いた。第二詩集となる今作では、その少女が大人の女性へと成長する。じぶんとはなんなのか、じぶんの魂の家はどこにあるのか、大いなる母たちから受け継いできた…
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Gepardi katsoo peiliin

Hannele HuoviGepardi katsoo peiliin


理想の高いチーター、社交的になれないバク、エステに通うサイ、殻に閉じこもるのが怖いカメ、成長しても袋から出てこないカンガルー、そして、不機嫌なフタコブラクダ。カメレオンは保護色を利用して社内で成績を上げ、カンガルーの子どもは大人になってもなかなか袋から出てきません。森から出てきて都会のゴミ箱を漁るクマを、ホームレスの男性は女性だと勘違いして不憫に思います…
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Konsta, eka A

Tuula KallioniemiKonsta, eka A


コンスタ・コポネンは7歳になりました。いよいよ小学校一年生です。初日の朝は、期待と不安で足を挫いたり、トイレがやたらと近くなったり、なんだか落ち着きません。同い年で隣に住んでいるアンニとは同じA組になりました。担任は、巻き毛のショートヘアで元気いっぱいのおばあちゃん、ミリヤミ・レッパネン先生。「一年生のもっとも大切な仕事は遊ぶことです!」と言うミリヤミ先生に…
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Veka viilettää

Anne KalliolaVeka viilettää


白樺の枝に、苔や茎を上手に組み立てて巣をつくったヒワ一家に、ヒナが四羽生まれました。ヴェカは、なかでも元気いっぱいのやんちゃな男の子。そして、いちばんになることが、なによりも、だれよりも大好きです。だれよりも、早く飛べるようになること。だれよりも、速く飛ぶこと。かくれんぼでは、だれよりも早く見つけて…
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Viima

Seita ParkkolaViima


濃い瞳にドレッドヘアー、そして、スケートボードに絶えない家出。この理由で、12歳のヴィーマは、可能性スクールに入学させられた。父親の再婚相手で心理カウンセラーのアヴァントの計らいだ。高い塀で囲まれた水槽のような冷たい建物。そこでは、いじめも競争もなく、すべてがルールに則って"良い子"と子どもの未来が…
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Lehmä jonka kyljessä oli luukku

Tomi KontioLehmä jonka kyljessä oli luukku


家出をした、ふたごの姉妹のイヴァンとヴァンヤは、途中、わき腹に小窓のついたウシに出会います。ふたりは、窓の向こう側が気になって仕方がありません。そこで、ふたりは窓の向こうの「いっぷう変わったもの」をのぞかせてもらう代わりに、ふたりのいっぷう変わった話し方を、物々交換することになりました。じつは…
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Mehiläispaviljonki Kertomus parvista

Leena KrohnMehiläispaviljonki. Kertomus parvista


町のなかでも、とりわけ古い建物のひとつである「蜜蜂の館」は、今、取り壊しの危機にある。以前は、心の病気の診療所として機能し、現在は、さまざまな独立した"群れ"をなす団体の集会所になっている。出入りする団体は、爬虫類学的同好会、咽喉シンガー、地方自治学振興会、脱字者クラブ、スタインヴュルツェル家系協会…
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Keinulauta

Timo ParvelaKeinulauta


ひとりぼっちのくまのピーは、いっしょにシーソーをこいでくれる相手を待っています。でも、待っているだけでよいのでしょうか。大きなもみの木に後押しされて、シーソー相手を探す旅に出ます。ピーは、いくつもの場面に直面して、いくつもの感情を体験します。月は太陽を信じて夜と昼をシーソーしていることに感動し…
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Varatohtori Virta Etelänavalla

Mikko LensuVaratohtori Virta Etelänavalla


カレント先生代理は、砕氷船「ポーラースター号」より一足先に、南極へと出発します。潜水艦で、南極氷の下を調査するためです。潜水艦は、北極での「ストーム号」発見の報酬として、ドイツの極地調査研究所と国際氷協会とザウアークラウト食品会社から贈られました。同行するのは、同僚のハンス、巨漢ネコのヘルムット…
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Risto Räppääjä ja villi kone

Sinikka & Tiina NopolaRisto Räppääjä ja villi kone


夏休みが始まったというのに、リストは部屋にこもりっきり。ドアに鍵をかけて、「協議中」という貼り紙までつけています。どうやら、パソコンのレスリングゲームに夢中になっているようです。ラウハおばさんは、なかから聞こえてくるカタカタという音に、てっきりリストが詩を書き始めたのだと勘違いし、ネッリは部屋…
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Puolukkavarvas

Johanna VenhoPuolukkavarvas


こけもものゆびから、なにが生まれ、なにが伝わるの?あかちゃんにとって、この瞬間がすべて。だからこそ、どんなに小さなものも、どんなに些細な出来事も、あかちゃんが関わるすべては、楽しくて、謎めいて、意味でいっぱいなのです。あかちゃんから溢れだす驚きと喜びを、ヴェンホは言葉に解き放ち、軽快な韻律…
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Minttu harrastaa

Maikki HarjanneMinttu harrastaa


おちゃめで明るい女の子ミントは、なにかを始めたくてうずうずしています。お友だちのエイコは、どうやら乗馬を始めたようです。さて、なにから始めよう?どれを選ぼう?ミントの周りはおもしろいことだらけで、ひとつに決められません。切手を集めてみたり、端切れでドレスを作ってみたり、頭の上にものを載せて…
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Kulkuri varpunen

Risto RasaKulkuri varpunen


生きとし生けるものたちに目を落として観察する。すると、小さなものから発露する輝きや美しさを前に、人はじぶんを省みます。小さきものの教えは大きく、そして、強く胸を打ちます。ささやかな生が、詩人の言葉で呼び出された一冊…
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Lopullinen totuus. Kaikesta

Kai NieminenLopullinen totuus. Kaikesta


真実とは、はたしてなんでしょう。そして、どこにあるのでしょう。じぶんのなかで疑いえない、消しえない、確かな真実。それは、「じぶんにむかって演奏する」ようなものであり、美しく在ろうとするもの。そして、じぶんのなかだけではなく、同じひとつの現実やひとつの世界に生きる他人と関係しながら、その真実を…
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Hirveää, parkaisi Hirviö

Katri Kirkkopelto & Suna VuoriHirveää, parkaisi Hirviö


モンスター一家の三人は、洞穴に住んでいます。ある晩、ちびのモンスターが悪夢にうなされて目覚めました。どうやら、夢のなかで、ちびのモンスターはテーマパークにいて、人間の子どもたちに、じぶんの存在を認めてもらえなかったというのです。なぜ、なんのために、じぶんは存在しているのか、どうして…
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Vauvan vaaka

Hannele HuoviVauvan vaaka


「子どもは詩です。子どもには、どきどきする詩の鼓動があって、宇宙を深呼吸しています。子どもは子宮にいるときから詩の友だちなんです」と語る、児童作家ハンネレ・フオヴィが、あかちゃんのための遊び歌を綴りました。小さなあかちゃんの大きな世界が、繊細に、豊かに、優しく、テンポよく、描かれた歌の数々…
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Yhtä juhlaa

Johanna VenhoYhtä juhlaa


時間と空間に縛られる日常のなかで、じぶんの存在を確かめられるのは、じぶんを存在可能にしている愛。その愛のかたちを、ヴェンホは、母性に見いだし、女性であることに見いだし、詩人であることに見いだします。あらゆる世界の現象に心を開いて、形や色や音を体全体で感じて、弛まぬ生命の運動のなかから…
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Minusta alkaa kasvaa juurakoita

Minna PadillaMinusta alkaa kasvaa juurakoita


自由自在に伸縮し、多種多様に形を変えて表現する、線画の生き物たち。ときに天真爛漫に軽快なステップを踏み、ときに哀しみの重みに潰されそうになりながらも、ふたたび翼を得て踊りを舞う生き物たち。それは、自我を脱皮するジャン・コクトーのポトマックを思わせ、また、内省からの出発を試みるフィンランドの詩人ミルッカ・レコラのマスクたちを…
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Alpi Kevätkuono ja kadonnut ystävä

Kati NärhiAlpi Kevätkuono ja kadonnut ystävä


いつもと変わらぬ風景がそこにあるように、レクサもアルピの傍にいつもいました。まだ小さいアルピは、かけがえのない友だちがいなくなって、寂しくてなりません。心配でたまらないアルピは、レクサ捜索に乗り出します。森の住人たちにレクサのことを尋ねるけれど、なんだか、みんな忙しそう。フクロウはお気に入りの…
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Lauluja mereen uponneista kaupungeista

Markku PaasonenLauluja mereen uponneista kaupungeista


マルック・パーソネンの四冊目となる叙事詩『海に沈んだ都市の歌』では、ダイナミックに、プリミティブに、そして、イメージのおもむくままに、めくるめく世界が繰り広げられます。そこには、シュールレアリストのような、新しい言葉の結合から生まれてくる新たな可能性があり、迸る精神の運動があり、感覚の躍動が感じられます…
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Hula-hula

Riitta JalonenHula-hula


「靴箱とフラフープが、わたしの支えだったの」と、ヘッラは振り返ります。11歳の少女ヘッラにとって、安全だと感じるのは、靴箱のなかやフラフープを回しているとき、そして、図書館の限られた空間やピアノを弾いているときでした。大人の世界は謎だらけ。働く母と主夫の父。そして、会話から漏れる父と母の不仲が、ヘッラに孤独と不安を掻きたたせ、…
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Varatohtori Virta pohjoisnavallaa

Mikko LensuVaratohtori Virta pohjoisnavalla


オーシャン機構に配属されているカレント先生代理は、砕氷船「ポーラースター号」に乗って、極地探検に出発します。同行するのは、ルールとマジパン好きのプリュカ船長、きっぷのいいロシア人女性の魚調査員ソンヤ、心根のやさしい大男のプラム船員と巨漢ネコのヘルムット、そして、詩吟に興じるAIコンピューターのオスカリに同僚のハンス…
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Oljilla täytetty nainen

Anne HänninenOljilla täytetty nainen


人生は、絶望と可能性の繰り返しであり、死はひとつの大きな生命への回帰であり、人間もまた万象の流れのうちのひとつである。 諦めについて、若さについて、今を生きることについて、美しい言葉で織りなした、アンネ・ハンニネンの第11弾詩集。…
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Heinähattu ja Vilttitossu joulun jäljillä

Sinikka & Tiina NopolaHeinähattu ja Vilttitossu joulun jäljillä


クリスマスを前に、カッティラコスキ家ではクリスマスの支度に大わらわです。ハンナは、大掃除やら、クリスマスプレゼントの用意やら、クリスマス料理の準備に息つく暇もありません。今年は、実家のばぁばがクリスマスに飽きて南へ旅行に行ってしまったので、残されたじぃじがカッティラコスキ家でクリスマスを過ごすことになりました。ヘイナとトッスとペッテリは大喜びで…
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Nottingham kesällä kello 6

Tuija LehtinenNottingham kesällä kello 6


夏休みを前にして、パンク少女サラの周りでは、同級生たちがアルバイト探しや新たな進路に向けて動き出そうとしていました。ボーイフレンドのラウスキは音楽学校を目指し、不良仲間のペッレは経営者になるべく商業学校へ、ロマンチストなモナ・リザはどうやら創作や小説を勉強する表現学校に進学したい様子。そんな仲間を横目にしながらも、「じぶんは?」と焦るサラ…
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Mummilaakson neljä vuodenaikaa

Tove Jansson & Sami MalilaMuumilaakson neljä vuodenaikaa


トーヴェ・ヤンソンのムーミン童話(1945-)のムーミン谷には四季があります。春、夏、秋、冬、それぞれの季節に、ムーミン谷の住民たちは、どんなことを感じて、どんなことをしながら、毎日を過ごしているのでしょうか。あるときは、ひっそりとじぶんの世界に浸りながらいろいろなことをじっくり考えたり、あるときは、想像力のおもむくままに楽しい遊びを思いついて夢中になったりします…
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Mummimamman mietekirja

Tove Jansson & Sami Malila
Muumimamman mietekirja / Muumipapan mietekirja / Pikku Myyn mietekirja


トーヴェ・ヤンソンの愛されてやまないムーミン童話(1945-)には、愛されるべき要素がたくさんつまっています。臨場感あふれる数々の冒険、包みこむように温かいユーモア、個々人が抱く真理、そして、それらを分かちあっておたがいを了解しあう心。そこには、変わらぬ知恵と知識があり、生きた哲学があります。 その哲学をもとめて、ムーミン屋敷にいろいろな客人が訪れます。虚しい人、寂しい人、孤独な人、ちょっと神経症な人。閉じこもりがちだった人はみんな、ムーミン屋敷でじぶんを解き放ちます。屋敷の温かさは、そのままムーミン一家の寛大な心と考えを映しだしています…
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Tatun ja Patun oudot kojeet

Aino Havukainen & Sami ToivonenTatun ja Patun oudot kojeet


いっぷう変わった風習や習慣をもつ"ヘンチクリン"に住んでいるタトゥとパトゥ兄弟。ふたりは、キテレツだけど、とっても便利な機械を発明しました。マイクロ繊維でつくったフィット感のある「一体型おそうじ服」を使えば、やっかいなそうじもラクラクです。キライなものやアレルギー反応のある食べ物を認識する「たべられないものセンサー」…
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Minä, äiti ja tunturihärkki

Riitta JalonenMinä, äiti ja tunturihärkki


おかあさんと幼い娘の二人旅。娘のサリは、おかあさんの運転する車に乗って、おかあさんの思い出のラップランドとノルウェーを旅します。ラップランドでトナカイを見て、アルタ(ノルウェーの古代文化の遺跡が残る町。1万年前のコムサ文化で有名)の森にテントを張って、北極海を望みながらお昼ごはん。でも、ほんとうの理由は…
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Ainakin tuhat laivaa

Sari PeltoniemiAinakin tuhat laivaa


貧困や疫病に喘ぐ難民と富と金を手にする独裁者の対立、大飢饉をもたらす冬を前に生きてゆく道を探る少女マンユの姿、カラス一族の自然との対話、菜食や癲癇を患うミモザ・シンドロームを生む現代、広島の原爆で病に伏した定子に千羽鶴を送ったように、不治の病に倒れたレアおばさんに折る千隻の船の意味とは…
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Ella aalloilla

Timo ParvelaElla aalloilla


小学二年生のエッラは掛け算が苦手な女の子。クラスのみんなも九九を覚えきれないので、先生と一緒にもう一度二年生になりました。新学期を控えた夏休みに、先生や仲間たちと航海することになりました。春に知り合ったロックスターのエルヴィーラから船を借りて、キャンプ地の島を目指して、さあ出発…
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Salaperäistä, tuliperäistä

Hannu HirvonenSalaperäistä, tuliperäistä


あるところに、火山島がありました。そこへ、鍋に乗った犬のエッタが漂着しました。島では、トガリネズミのピピンや、水生ネズミのロッタや、魚の油を主食にしているムクムク一族や、ごくごく小さな生き物のミリミリたちが平和に暮らしていました。ジャングルと火山を戴いた島での暮らしは、果物もナッツもたわわに実って楽園のよう…
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Laulajan paperit

Anja ErämajaLaulajan paperit


歌手アンヤ・エラマヤは、細やかな観察眼と鋭敏な感覚で、「日常のパロディー劇」を独自の世界観で魅せた。詩集に登場する歌手は中年女性だ。「人生は小さなことからはじまる」ように、微細で偶発的な事柄が大きな事柄に影響を及ぼすこともある。ペトリ・タンミネンの『人生いろいろ』では男性が主人公であったが、…
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Surujenkerääjä

Katja KettuSurujenkerääjä


主人公の私は、カウンセラーになった従兄弟のもとへ通いながら、じぶんを探しに幼少時代の記憶へ遡ります。女系家族に育った私は理想の男性像に恵まれませんでした。共産主義に憧れを抱いた曾祖父に悩まされた曾祖母、博打好きで女遊びだった祖父に泣かされた祖母、浮気性の父親に愛想をつかした母…
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Heinähattu, Vilttitossu ja kielletty kampela

Sinikka & Tiina NopolaHeinähattu, Vilttitossu ja kielletty kampela


カッティラコスキ家の母、ハンナの創造力がふたたびぐるぐると回り始めたようです。今回は、じぶんの瞳の色と同じものを食べて健康で穏やかな毎日を送ろう、と言い出したのです。フェルト靴のトッスにはグリーンピース、麦わら帽子のヘイナにはブルーベリースープ、薄い色の目をした父のマッティには若いモミの…
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Punahukka

Kari HotakainenPunahukka


車掌として働く中年のフィンランド人男性ペッカ。突然、ロシアとの国境沿いの町ヴァイニッカラで回心したと言い、家族や教会牧師と一波乱を巻き起こします。サンクトペテルブルグの金箔師だった兄のセッポと企んで犯した聖画像の密輸、フィンランド不況時代に亡くなった父のロシア人隠し子カティヤの遺産をくすねた罪悪感…
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Sara@crazymail.com

Tuija LehtinenSara@crazymail.com


ヘルシンキで仲間と問題を起こしてしまった16歳のパンク少女サラ。神経症の母親や再婚相手の継父の手に負えず、ヘルシンキから離れた叔父の家に預けられ、「くそムカつく」新生活を始めます。サラを取り巻く環境も人生もどんよりとした「くそムカつく」ことばかり。愛想のない叔父イュルキ、自己主張ばかりする厚かましい親戚一同…
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Kärpäsen koulu

Mari MöröKärpäsen koulu


母を亡くし、病床の父を抱え、離婚危機に陥り、心療内科へ通院する一途な男性コヨ。いくつもの逆境を抱えた男性が執着したのは、生前の父がオークションで競り落としてしまったアンティークの肘掛け椅子だった。母のお気に入りでもあった形見の椅子は、ひょんなことから親戚の若手芸術家マルユリの手にわたってしまうと…
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Kädettömät kuninkaat

Johanna SinisaloKädettömät kuninkaat


怪奇談やファンタジー作品を得意とするSFファンタジー小説家ヨハンナ・シニサロの短編小説集。1985年から2004年までに文芸誌などで発表された小説を一冊にまとめた作品集には、シニサロの作風が成熟していく様子が見てとれます。近い将来を見通す力をもつサーメの血を引くアイラが見たエティアイネンとは?…
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Risto Räppääjä ja kauhea makkara

Sinikka & Tiina NopolaRisto Räppääjä ja kauhea makkara


そろそろ夏休みも終わりに近づいてきました。そこで、ラウハおばさんも本腰を入れて電話セールスに取り組もうと思いたちます。ラウハおばさんは、次の主力商品として日持ちするソーセージを候補に考えました。そして、いろんな種類のソーセージを売っているハンガリーの首都ブダペストまで、ミスター・リンドベリのつてを頼りに…
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Risto Räppääjä ja komea Kullervo

Sinikka & Tiina NopolaRisto Räppääjä ja komea Kullervo


リストが住んでいる家の向かいにぴしっと着こなしたハンサムボーイのクッレルボがやってきました。未亡人となって元気がなくなった祖父アイモ・カケスを心配して、夏休みの間だけ同居するようです。しかも、クッレルボは、祖父に話し相手のパートナーを探すために、目を皿のようにして分厚い電話帳から未亡人の名前を探して…
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Risto Räppääjä ja Hilpuri Tilli

Sinikka & Tiina NopolaRisto Räppääjä ja Hilpuri Tilli


リストの学校で食習慣アンケートが実施されました。そこで、リストは、ニーロ・ルンムカイネン先生から再調査を受けることになります。リストの面倒をみているラウハおばさんがグリンピーススープばかり食べさせているので、リストには「おなら」障害があるのではないかという疑いをかけられてしまいました。そんな誤解を…
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Risto Räppääjä ja sitkeä finni

Sinikka & Tiina NopolaRisto Räppääjä ja sitkeä finni


わずか11歳でニキビができた・・・と心配になったラウハおばさんは、リストを病院へ連れていきます。おばさんの心配に拍車をかけたのは、エルヴィおばさんからの一通の手紙でした。どうやら、週末に"リストの練習の成果"をチェックしに訪ねてくるというのです。衛生管理に手厳しいエルヴィおばさんが来る前に…
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Karhukirjeitä Karvoselle

Jukka ParkkinenKarhukirjeitä Karvoselle


共働きのおとうさんとおかあさんをもつこぐまは、しばらくの間、くまの丘に住んでいるアマリアおばさんに預けられることになりました。世話好きでどんなことにも興味を示す、独身のアマリアおばさんとの生活は、こぐまにとって冒険と初体験のことばかり。くま奉仕団体主催のバザーに参加したり、試食ツアーを敢行したり…
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Velmuja ja vintiöitä

Tuula KallioniemiVelmuja ja vintiöitä


小さな村の小さなレウフ坂小学校は、担任の先生も一人、保健室の先生も一人、給食のおばさんも一人、生徒も1年生から6年生まで一クラス。けれど、レウフ坂小学校は小さいながらも、賑やかで元気な子どもたちでいっぱいです。 美化週間や親切週間など、盛りだくさんのアイデアで生徒を飽きさせない…
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Suljetun paikan lumo

Anna Maria MäkiSuljetun paikan lumo


マキの処女小説『閉じ込められた魅惑』では、こういった恐怖が、人物や情景のディテールを通して拡張し、力強い現実となって眼前に迫ってきます。人は、自分のなかでコントロールできる不変なものに安心を覚えます。その安心はコントロール不可能な事態のなかで恐怖へと変わり、恐怖を感じることによって、自分の存在をあらためて強く考えること…
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Hirvi

Sari PeltoniemiHirvi


宮廷でお抱えたちにかしずかれながら、蝶よ花よと育てられたウルスラ姫。おしゃべり相手は反抗しない召使いばかりで、友人と呼べる人は一人もいませんでした。18歳の誕生日に思うこと、それは、いずれは父である国王の決めた相手と結婚し、束縛された人生を送るであろう自分の未来でした。その憂いから、ウルスラは…
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Näytän hyvältä ilman paitaa

Kari HotakainenNäytän hyvältä ilman paitaa


現代の若者は、現実をどのように受け止めているのでしょうか?そして、将来像をどのように描いているのでしょうか?若者は大人が思っている以上に大人かもしれません。そして大人は大人が思っているほど大人でないかもしれません。「ストーリーのはっとさせられるような批評眼は、大人だけではなく、若者や今現在に生きている…
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Maskuja

Mirkka RekolaMaskuja


小さな主人公マスクは小さな世界を大きく見せてくれるアンチ・ヒーロー的な立役者です。大きなものの陰になりやすい小さな事柄や、強大な流れに忘れ去られがちな大切なことを、読者の目の前に拡大して再認識させてくれます。足元に咲く小さな花に視線を落として感じる幸せ、大地の石や水や木が呼応し…
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Hiililiekki

Olli SinivaaraHiililiekki


シニヴァーラの詩は、言葉を読むだけではなく、耳で聴いて音を感じ、光を感じて触っているような、五感を刺激する要素を持ち合わせています。言葉が解体され、意味を問いかけるように感覚が刺激され、読んでいくうちに別の感覚も研ぎ澄まされるような読了感が生まれます…
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Tyypit

Katja KallioTyypit


わたしたちは人生のなかで、さまざまな人と出会ったり、すれ違ったり、親しくなったり、疎遠になったりします。ロシアの文豪ツルゲーネフは人間を「ハムレット」型と「ドン・キホーテ」型に興味深く二類しましたが、出版社での編集者を経て作家へ転身したカティヤ・カッリオは独身女性の視点からさまざまな人物をタイプ別に…
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Löytöretkeilijä Kukka Kaalinen

Sari PeltoniemiLöytöretkeilijä Kukka Kaalinen


探検家のパパのカブ・キャベツとママのメ・キャベツが、娘のハナ・キャベツに書きおき一枚も残さずに、いつの間にか探検旅行へ旅立ってしまいました。いつものことなのですが、今回はなんの音沙汰もないので、行方不明として捜索願を出すことになります。そして、残されたハナは、落し物事務所の落し物棚で寝泊りすることになりました…
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Maailman paras napa

Hannele HuoviMaailman paras napa


おとぎ話といえば、以前におすすめ作品で紹介したピルッコ=リーサ・スロイェギン編集の『子どものためのフィンランド寓話』のように、キツネやウサギやクマといった動物を主人公に、生きてゆく道標やちょっとした小話(かっこうの美しい歌声の謎やウサギの口元がふたつに裂けている理由など)がユーモラスに語られたものが主流でした…
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Siiri ja sotkuinen Kerttu

Tiina NopolaSiiri ja sotkuinen Kerttu


シーリは明るくておちゃめな女の子。ひとりっ子のシーリは、遊び仲間がほしくてたまりません。今日はお隣のオット三兄弟(ちびオット、まんなかオット、大きいオット)の末っ子のちびオットの誕生日。シーリ手づくりのチェーンのキーホルダーをプレゼントしようと、胸を弾ませながらオット三兄弟の家に急ぎます…
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Tiitiäisen satupuu

Kirsi KunnasTiitiäisen satupuu


今年で数十版目を迎える詩人キルシ・クンナスの「ティーティアイネン童謡集」は、フィンランド版マザーグースとして愛され続けている子どものための詩集シリーズです。クンナスの弾むようなユーモアと哲学が芸術作品へと昇華し、現実と非現実が見事に融合したクンナスの童謡は、子どものための詩集としてフィンランドの児童文学界に新風を吹き込みましたが、世代を超えて大人の読者をも魅了してきました…
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Largo

Ilpo TiihonenLargo


愛と生と死をテーマに、ティーホネンの言葉への熱い想いが凝縮された珠玉。詩として、本として、読まれたものとして、聞かれたものとして、知識として、かけがえのない血潮のように言葉が駆け巡ります。「人生とは、一瞬一瞬の自分の言葉を読むことであり、そのなかに溶け込むことであり、もうひとつの現実になにかを見いだすことです」…
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Veera ja maatalon eläimet

Aino Havukainen & Sami ToivonenVeera ja maatalon eläimet


「ヴェーラ」シリーズの3作目ではヴェーラは農場の動物たちの生活を体験します。"ヘンチクリン"の住人であるタトゥとパトゥも農場見学に参加して、鶏舎から羊小屋へ、豚小屋から馬小屋へ、動物たちの動作に3人の好奇心もうずうずしてきます。農場の"奇妙な"器具にも驚きを隠せません。馬小屋では装蹄作業に感心し、牛舎では乳搾り…
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Armi on vauva

Riitta UusitaloArmi on vauva


家族に赤ちゃんが生まれたら?赤ちゃんの一日って一体どんなもの? 赤ちゃんのアルミは、食べて眠って笑って動いて、赤ちゃんなりに大忙し。パパとママとおねえちゃんに愛されてすくすく育つアルミの幸福物語です。 大胆な配色とレイアウト、そしてパワフルで自由奔放な線が特徴的で…
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Matka joulun taloon

Hannele HuoviMatka joulun taloon


絵本『クリスマスのとびらを開けて』では、胸躍る小動物たちのクリスマスへの期待や、魔法がかった冬夜の神秘が、神聖な喜びとともに綴られています。 パン職人の小人のトンットゥは、ジンジャークッキーづくりに綿棒を持つ手も休みなく、小走りトンットゥは大掃除におおわらわ。それでは、とってもちびのトンットゥの…
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Sanoo isä

Timo ParvelaSanoo isä


パパはなんでも知っているんだ、と思っているのは主人公の男の子、ラウリ。頭が良くて、ユーモアがあって、ちょっとおっちょこちょいなパパは、ラウリの誕生日を盛り上げようと一生懸命。 ラウリの5歳の誕生日にケーキの材料をスーパーへ買い出しに出かけることになったけれど、おっちょこちょいなパパはタンスの上に眼鏡も…
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Pussikaljaromaani

Mikko RimminenPussikaljaromaani


舞台はヘルシンキのカッリオ地域。なにをするともなく行き当たりばったりの一日を送る、元帥、ミータリアン、ヘンニネンの3人男は、なにかしなければとダイスゲームを思いつく。ところが、そこに行き着くまでの道程は、溜め息とむだ話の繰り返し。前日の二日酔いに苛まれながらもパブへ足を運んでは、つれづれに言葉を紡ぐ…
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Keäällä isä sai siivet

Tomi KontioKeväällä isä sai siivet


ある日突然、お父さんの背中に翼が生えた。そしてオーストラリアでもない、そしてアジアでもない、不思議の国「オーストアジア」へと旅立ってしまった。その日を境に双子の兄弟ティモとトミは、冒険の世界へと足を踏み入れていく。そう、「オーストアジア」の存在をひた隠そうとする秘密結社との戦いの火蓋が切られるのです…
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Tatu ja Patu Helsingissä

Aino Havukainen & Sami ToivonenTatu ja Patu Helsingissä


いっぷう変わった風習や習慣をもつ"ヘンチクリン"に住んでいるタトゥとパトゥ兄弟。二人は、いとこのヨリを訪ねにヘルシンキへやって来ます。ヘルシンキの人ごみから颯爽と姿をあらわしたヨリは、なにやらもくもくと煙を吐いているカバンをもっています。久しぶりの感動の再会もそこそこに、ビジネスマンとして慌しく…
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Unelmakuolema

Leena KrohnUnelmakuolema


ルシアは、夢死センターとクライオケアセンターに勤める麻酔医である。夢死センターの客は、質の高い死を望んでいる若くて健康な市民だ。一方、クライオケアセンターの客は、不治の病にたいする医療の進展を期待しながら不死の眠りを望んでいる。 夢死センターにはさまざまな客が訪れる。他人には聞こえない音が聞こえてしまう音響技術者トッティ、職場をサボタージュしようと企む秘密テロリストに関わっているカッス…
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Risto Räppääjä ja Nuudelipää

Sinikka & Tiina NopolaRisto Räppääjä ja Nuudelipää


主人公のリスト・ラッパーヤは、好奇心いっぱい、元気いっぱい、冒険心あふれる男の子。お人よしで、すこしおっちょこちょいな叔母ラウハとリンドベリ公園通りのアパートに住んでいます。 そこに、人気の料理番組「おなかいっぱいペルホネン」で有名なペルホネン夫妻が、ラッパーヤ家の下階に引っ越してきます…
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Sanomattomia lehtiä

Aki SalmelaSanomattomia lehtiä


カレヴィ・ヤンッティ賞を受賞したサルメラの処女詩集は、芸術や文学の伝統や歴史のなかであらわされた言葉を、おもむくままに継ぎはぎ、あてがい、組み合わせながら、言葉の自由な遊びをためした作品です。シュールレアリスム画家マックス・エルンスト、「偶然性の音楽」を作り出したジョン・ケージ、非日常を独自の世界観で描いた詩人・画家アンリ・ミショー…
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Suomen lasten eläinsadut

Pirkko-Liisa SurojeginSuomen lasten eläinsadut


フィンランドの森に生きる動物たちが、編者ピルッコ=リーサ・スロイェギン(Pirkko-Liisa Surojegin, 1950~)の写実的で繊細なイラストともに登場します。フィンランドの童話に欠かせない頑強で人情に厚いクマや無愛想なオオカミや狡猾なキツネを中心に、カラスにカササギ、ウサギにブタ、アリにリスといった森の住人たちのエピソードが現代の言葉で生き生きと語られます…
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Tyttö ja naakkapuu

Riitta JalonenTyttö ja naakkapuu


母親と一緒に新境地へ向かう少女は、鉄道駅でコクマルガラスが止まっている大きな木を目にします。ふいに前触れもなく一羽が飛び立つと、バサバサと羽音をたてながら後を追うようにいっせいに飛び去ってしまいます。そして、ぽつりと残された木を自分と重ねあわせながら、父親との思い出が映像とともに少女の心に蘇ってくるのでした…
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Ihana meri

Kira PoutanenIhana meri


ヤングアダルト小説『すばらしい海』は、主人公である15歳のユリアの心と身体の葛藤を描いた物語です。平凡な学校生活、優等生であることへのプレッシャー、単調な家庭生活、明日は今日を繰り返すだけ。テレビや雑誌を飾るモデルやタレントに女性の理想像を描き、クラスメートのスタイルや言動やファッションに焦りを覚え、次々に課される大人になるための条件が、ユリアのなかで苦しみへと変わり拒食症へと陥ってゆきます…
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Satu joka oli totta

Katri TapolaSatu joka oli totta


目を瞑って見る夢が冒険にみちたおとぎ話だったら、あなたはどうしますか? 冒険者のマントをはおった少年は、おとぎの世界をさまようことになります。そこで出会う動物たちとの触れあいは、少年の心に感情の波を呼びおこします…
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Risto Räppääjä ja pakastaja-Elvi

Sinikka & Tiina NopolaRisto Räppääjä ja pakastaja-Elvi


主人公のリスト・ラッパーヤは、叔母のラウハとリンドベリ公園通りのアパートに住んでいる。リストの母は研究者で海外に飛んでいて家にいない。一緒に住んでいるラウハおばさんは自宅で電話セールスをしているが、気弱で押しが足りない性格から、商品がなかなか思うように売れない。リストは好奇心旺盛で音楽の好きな…
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Heinähattu, Vilttitossu ja Rubensin veljekset

Sinikka & Tiina NopolaHeinähattu, Vilttitossu ja Rubensin veljekset


おりこうさんの麦わらぼうしのヘイナと、おてんばなフェルト靴のトッスの姉妹は遊ぶことが大好きだ。2人の弟カシミールは、まだ4歳なのに新聞を読んで、カッティラコスキ夫妻は子供らしく自然のなかで遊んでほしいと願ってサマーコテージに出かける。一家はサマーコテージで釣りやミミズ捕りをして夏を楽しむが…
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Sfinksi vai robotti?

Leena KrohnSfinksi vai robotti


世界の誕生とは?世界の終焉とは?重力とは?死や未来とはなんだろう?哲学的な偉大な疑問を、作品の主人公である子どもたちが大人と一緒に考えるサイエンスファンタジー…
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Muistelmat

Petri TamminenMuistelmat


言葉を慎重に選び抜いたタンミネンの作品は、まるで濃縮されたジュースのように印象的だ。今回、タンミネンは、37年間の追憶を200文字以内の30編の物語にまとめ上げた。それぞれの時代を生きた作者の分身のような主人公たちが、78ページというスリムサイズに人生を搾り出した…
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Pereat mundus

Leena KrohnPereat mundus


世界の終末を危惧しかねない不安要素が36章にわたってちりばめられた同作品には、ホーカンという同名の主人公たちが登場する。テロの危険性、人間を追い越しかねない超人的知能AIの目覚しい発達、崩壊するモラル、シンギュラリティーへの不安、キメラを実験台にする人間たち、絶滅危機にあるカエルたち、幻覚作用をもつヒヨス…
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Höyhenketju

Hannele HuoviHöyhenketju


人間の住む「影の世界」に生きる主人公の少女エレイサが、「鳥世界」で体験する成長物語。鳥を愛するエレイサには、鳥の世界や言葉を解する不思議な力がある。ある日、天高く壮麗に舞う鳥世界の守護神の息子タカを目にし、その凛とした飛翔をもっと見てみたいと思い、惹かれるままに両手を伸ばして肢をつかもうとした途端…
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Piiloutujanmaa

Petri TamminenPiiloutujan maa


ちょっと目を凝らせば、ちょっと注意を払えば、日常は隠れる場所で溢れている。普段は気にも留めない砂の穴も、人ごみのなかも、施設も、母親の懐も良い隠れ場所となる。気に留めることのなかった隠れ場所を意識することで、新たな事実や見解が生まれてくるから不思議だ。タンミネンは余計な言葉を削ぎ取り、洗練された…
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Juoksuhaudantie

Kari HotakainenJuoksuhaudantie


2DKアパートに住み、家庭の主夫として全ての家事をこなす主人公マッティ・ヴィルタネン。 喧嘩の最中に妻に手を上げたことで、崩壊しそうな家庭をもう一度取り戻そうと考えあぐねた案は、 長年の妻の夢でもあったマイホームを手に入れることだった。胸に心拍計を手に双眼鏡とメモ用紙を持ち、 とり憑かれたようにめぼしい一軒家を探し…
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