【要約】
主人公の私は、カウンセラーになった従兄弟のもとへ通いながら、じぶんを探しに幼少時代の記憶へ遡ります。女系家族に育った私は理想の男性像に恵まれませんでした。共産主義に憧れを抱いた曾祖父に悩まされた曾祖母、博打好きで女遊びだった祖父に泣かされた祖母、浮気性の父親に愛想をつかした母。私の悲運は家系にあると思い、私は私であるということを自覚するため、自らの主体性を確立するため、私はじぶんの家系の歴史を紐解きます。父親から受けたサウナ小屋での性的暴力、犬の死、女系家族の悲劇、焼失した家、従兄弟の精神分裂病、伯母の自殺、膀胱炎と膣炎に苦しんだ私、自由奔放な恋人ヤンに惹かれる私、アルコールに溺れ、自殺未遂を図り、自己破壊の道を辿っている現在の私。掌から零れ落ちんばかりの悲しみを、石にたとえてひとつひとつ集めます。悲しみと苦しみに向き合いながら、自己救済へと転向してゆく物語。アニメーションの制作などを手がけるケットゥの処女小説。
|