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Karhukirjeitä Karvoselle;    原書名:  Karhukirjeitä Karvoselle
 (ぼくのともだちへ―こぐまの手紙)
 作者名:  Jukka Parkkinen, 1948~
 ユッカ・パルッキネン
 出版社 / 年:  WSOY / 2002
 ページ数:  93
 ISBN:  9510266477
 分類:  絵本
 備考:

【要約】

共働きのおとうさんとおかあさんをもつこぐまは、しばらくの間、くまの丘に住んでいるアマリアおばさんに預けられることになりました。世話好きでどんなことにも興味を示す、独身のアマリアおばさんとの生活は、こぐまにとって冒険と初体験のことばかり。くま奉仕団体主催のバザーに参加したり、試食ツアーを敢行したり、オークションに出かけて念願の消火器を手に入れたり、アマリアおばさんと恋仲だったおまわりのくま彦さんとヨリを戻したり・・・。そんな近況を、こぐまはともだちのカルヴォネンに手紙で伝えます。

国営放送局YLEのラジオ朗読のために書かれた5分間童話が一冊の本になりました。パルッキネンの愉快で明朗なユーモアが光る「こぐまの手紙」シリーズ(2002)の第一作目。

【抜粋訳: pp.61-62】

こんにちは、カルヴォネン。カルヴォネンは裁縫クラブに参加したことありますか?ぼくはあります。ある日の夕方、アマリアおばさんの家にみんなが集まってきました。おばさんからこの話を聞いたとき、いったい裁縫クラブではなにをするのって聞いてみたら、おばさんは、とくになんにもしないわって言いました。ただ、コーヒーを飲んだり、来ていない人たちの悪口を言ったりしてるらしいです。裁縫がどんなふうに関係しているのかというと、参加者全員が未完成の手芸を持ってくるからなんです。年に一回、発表会を開いているんですが、展示作品にはかならず説明書も添えます。つまり、鍋つかみやセーターやエッグウォーマーが未完成のまま展示してある理由を書いているんです。

裁縫クラブのために、おばさんは菓子パンのプッラとかスパイスケーキを焼いて、ぼくはやかんいっぱいにコーヒーをつくりました。そして、夕方になると裁縫クラブのメンバーが未完成の作品を持って家にやってきました。おばさんとかおねえさんとか、年の違う人たちが10人くらい集まって、なかにはアマリアおばさんと同じ看護婦の人もいました。ぼくはせっせとコーヒーをカップに注いだり、クラブの活動を見ていました。

手始めに、みんなぼくのことをほめてくれました。元気なぼうや、ねえ、年はいくつなの。いいわねえ、男の人がいろいろサービスしてくれるなんて。それから、今度はアマリアおばさんに話が移りました。アマリア、このスパイスケーキ、とってもおいしいわ。作り方を教えてくれない。なんだか話が途切れることなくどんどんつながっていって、主役はお茶会とおしゃべりみたいでした。

文/訳 末延弘子 ユッカ・パルッキネン著『ぼくのともだちへ―こぐまの手紙』(2002)より


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