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Urpo ja Turpo Villissä lännessä    原書名:  Urpo ja Turpo Villissä lännessä
 (ウルポとトゥルポのウェスタン)
 作者名:  Hannele Huovi, 1949~
 ハンネレ・フオヴィ
 出版社 / 年:  TAMMI / 2003
 ページ数:  88
 ISBN:  978-951-31-2697-1
 分類:  絵本
 備考:  Ihme juttu!
 Jättityttö ja Pirhonen
 Vladimirin kirja
 Ahaa! sanoi Pikkuruu
 Karvakorvan runopurkki
 Taivaanpojan verkko
 Miinalan Veikon nyrkkeilykoulu
 Suurkontio Tahmapää
 Suurkontio Tahmapää rakentaa
 Gepardi katsoo peiliin
 Vauvan vaaka
 Maailman paras napa
 Matka joulun taloon
 Höyhenketju
 『羽根の鎖』

【要約】

クマのぬいぐるみのウルポとトゥルポは緑の家の二階の子ども部屋に住んでいます。ウルポはずんぐりしっぽのおとなしい灰色のクマで、トゥルポは冒険ずきのやんちゃな茶色のクマです。

二人は、緑の家に住む男の子と女の子が建てた西部の町が気になって遊びにいくことにしました。ウルポとトゥルポはカウボーイさながら、男の子と女の子の手袋に色鉛筆やボールペンや絵筆をさして、なりきって町を歩きます。

町では、つぎはぎだらけの赤ちゃんを拾ったり、銀行強盗にあったり、暴れ馬やインディアンに襲われたり、家で飼うことになったダックスフントに町を引っかきまわされたり、つぎつぎに事件が起こります。

拾われた赤ちゃんはグーと名づけられ、ウルポとトゥルポが面倒をみることになりました。グーは、暴れ馬をものともしないふしぎな力をもった赤ちゃんで、だれもが目を見はりました。それもそのはず、グーはインディアンの子どもだったのです。

インディアンは、ウルポとトゥルポがグーの面倒をみてくれたことに感謝して、偉大な勇者におくられる羽根飾りをプレゼントし、太陽の踊りに誘います。ところが、ウルポやトゥルポやおもちゃの人形たちは、いつも陽のあたらない子ども部屋にいるので、太陽を知りません。みんなはどんなふうに太陽を踊ったらいいのかとまどいます。でも、一緒に踊っているうちに、とても楽しくなって、みんなは天にも昇るほど幸せなきもちになりました。

ふだんは陽のあたらないおもちゃの世界が、ウルポとトゥルポのユーモアによって動きだします。「ウルポとトゥルポ」シリーズ(1987-)は、本国で人形アニメーションにもなり、今でも愛されています。

【抜粋訳 pp.19-22】

「わかった!」
 トゥルポが本棚から落ちた漫画雑誌をみて、声をあげました。表紙にはカウボーイが描かれています。
 ウルポはなんのことかわからずぽかんとしていると、トゥルポがせっついていいました。
「カウボーイにあって、ぼくらにないものだよ!」
「ということは、カウボーイにないものを、ぼくらはもってるんだ。毛とかしっぽとか、カウボーイはもってないよ」
「そうじゃなくて、これ!」
 ウルポはカウボーイをよく見てみました。カウボーイは両腰に一丁ずつ銃をさげていました。
「いいなあ」
「よくない。争いごとはキライだもん。銃なんてもたないよ」ウルポはきっぱりいいました。
「銃をもとうなんていってないぜ。でもさ、こういうのぼくらももとうよ」
 それでもウルポは首をたてに振ろうとしません。
「武器なんていらない。なくてやっていけるんだから。それに、そういうのを入れるケースもないよ」ウルポは、カウボーイのベルトにぶらさがっているケースをさしました。
「あるよ!あそこ!」
 トゥルポはうれしそうにイスを指さしました。イスの上にはミトンが二組ありました。一つは女の子の赤いミトンで、一つは男の子の青いミトンでした。
(ほんとだ。たしかにミトンがケースのかわりになりそう)
「それに、ウルポはこの町の保安官なんだからさ」
 ウルポはしばらく考えたあと、つけることにしました。二人は安全ピンとキラキラ光るバッジを見つけて、それでミトンを腰につけました。
「かっこいい!」トゥルポははしゃぎました。
「あとはなかみだね」ウルポがいいました。
「かわりになりそうなものって?」トゥルポがききました。
「ペンかな」
「絵筆もいいぜ」
「ハーモニカもいいね」
 二人は机の上にのぼって引きだしを開けると、ふでばこを引っくりかえしました。ミトンはあっという間にぱんぱんになりました。色えんぴつ、絵筆、ペン、刷毛、えんぴつ、ボールペン、クレヨン、それからハーモニカも入れました。
「これがいちばんかっこいい」トゥルポは万年筆のペン先をなでると、紙にハートを描きました。

文/訳 末延弘子 ハンネレ・フオヴィ著『ウルポとトゥルポのウェスタン』(2003)より


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