KIRJOJEN PUUTARHA
フィンランド文学情報サイト

 

 tunnus おすすめ作品

Kevätkuono ja kadonnut ystävä    原書名:  Alpi Kevätkuono ja kadonnut ystävä
 (こいぬのアルピと消えたともだち)
 作者名:  Kati Närhi, 1973~
 カティ・ナルヒ
 出版社 / 年:  WSOY / 2006
 ページ数:  24
 ISBN:  9510316377
 分類:  絵本
 備考:

【要約】

いつもと変わらぬ風景がそこにあるように、レクサもアルピの傍にいつもいました。まだ小さいアルピは、かけがえのない友だちがいなくなって、寂しくてなりません。心配でたまらないアルピは、レクサ捜索に乗り出します。森の住人たちにレクサのことを尋ねるけれど、なんだか、みんな忙しそう。

フクロウはお気に入りのテレビ番組「大自然」に夢中で、ウサギは毛皮のホワイトニングのためにサロンに駆け込んでいます。クマは家に閉じこもって、なにやら読書に熱中しています。なんの手がかりもないまま、アルピは疲れきった様子で眠りこけてしまいます。アルピの心を映すかのように、雨も降り出してきました。

アルピはレクサに会えるのでしょうか?森の住人たちは、なににそんなに急いでいるのでしょう?ナルヒの北欧絵本コンテスト出品作『こいぬのアルピ』は、いなくなって初めて認識する大切なものを、優しく語ります。

【抜粋訳】

ひとつめの雨が、鼻にぽとん、ふたつめの雨は、おでこのまんなかにぽとん。みっつめの雨は、耳のなかに落っこちてきて、いやな感じ。よっつめ、いつつめ、むっつめ、ななつめ、それから、やっつめの雨は、いちどに落っこちてきました。それから、空をうめるように、ざあっと落っこちてきました。ものすごいどしゃぶりで、どこにむかっているのか、わかりません。でも、アルピにすてきなかんがえがうかびました。

「ぼくが、「どこにいるのかわからない」ところからレクサを探しているんだったら、ぼくは、「どこにむかうのかわからない」ところにむかっているんだ。こういうかんがえも、とっていいかも」

文/訳 末延弘子 カティ・ナルヒ著『こいぬのアルピと消えたともだち』(2006)より


おすすめ作品の目次へ ▲このページのトップへもどる