【要約】
カイサはお父さんと二人暮らしです。お父さんは牛乳の配達をしています。お母さんは"外国"の気象台で働いていて、もうずいぶんと一緒に住んでいません。同じマンションには友だちのペッカやパシが住んでいてよく遊んでいますが、管理人のライネやお父さんの新しい友だちのシルックとも遊んでいます。
ある日、カイサ宛てにお母さんから一通の手紙が届きました。手紙の内容はわかりません。カイサはお母さんに会いたくて、一人でお母さんを訪ねることにしました。リュックに詰めたのは、お弁当、お母さんからの手紙、歯ブラシ、着替え、それから本。ぶたの貯金箱を空けて、ハエのレンピとうさぎのぬいぐるみのププリとププリーノを連れて出発しました。
駅で切符を買い求め、バスでトゥルクという町まで行って、何時間も待ってフェリーに乗り継ぎました。フェリーで働くティーナやマーリットはカイサのお母さんのことを知っていました。でも、カイサのことは誰にも話していないことを知り、カイサは本当にお母さんに会ってもいいのか考えます。やがてフェリーはウルコサーリ島に着きました。ティーナに連れられてお母さんの家の近くまでやって来ると、遠くからお母さんの姿が見えました。走りよって抱きついたカイサを、お母さんはしっかり抱きとめました。
なぜ一緒に住むことが難しくなったのか、お母さんは語りませんでした。でも、カイサに会いたくて、毎日手紙を書いては燃やし、書いては燃やしていました。そのうちの一通がなぜかカイサの手もとに届いたのでした。
その日はお母さんと岬を歩き、ご飯を食べ、トランプをして、一緒に眠りました。翌朝、お父さんがカイサを迎えに来ました。手紙のやりとりを約束して、カイサはお母さんと別れました。
帰りのフェリーで、お父さんからシルックの家に引っ越す話がありました。カイサは、もう見えなくなった島で手を振るお母さんの姿を思いました。
本書は、バッゲの幼年童話「カイサの物語」シリーズ(2002?)の第7話です。難しくて悲しい出来事に向き合うカイサの心を、バッゲは昂ることなく静かに丁寧に描き、優れた子どもの本に贈られるアルヴィッド・リュデッケン賞を受賞しました。
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