【要約】
ある日、うさぎのヤニスは、しきりになにかに話しかけているサルを森で見かけました。サルは、きらきら光って音を立てる小さいものを手にしています。それは携帯電話でした。着信音が鳴り響き、森はめっきり騒がしくなりました。新しいものに目がないヤニスはケータイに浮かれ、かつての静かな森を思うあらいぐまのヴァンキはケータイ現象にうんざりします。フクロウも、ケータイに振り回されるサルやオオカミやブタやネズミを見て、森のこれからが心配でたまりません。
森のみんなは、ケータイサンタと名乗る男から携帯電話をもらいました。ヤニスも、自分のケータイをついに手に入れ、電話のかけ方からカメラの使い方、着信音の変え方、画像の保存の仕方までサルに教わって、ケータイ漬けの毎日を送るようになります。あまりにケータイに夢中になりすぎて、ヤニスは熱を出して寝こみますが、熱が下がると凝りもせずケータイに没頭します。
ヤニスをはじめ、サルやオオカミやブタやネズミはケータイを使いつづけ、料金はどんどん膨らんでいきました。ケータイサンタから請求されてはじめて、森のみんなは支払えないことに気がつきます。ケータイサンタはヤニスを人質にとり、森を差し押さえました。見かねたヴァンキは、延滞料金もまとめて二週間後に支払う約束をし、ヤニスを助ける計画を立てます。
森のみんなの食糧をいっさいがっさい集めて市場で売り、サルの仲間たちの曲芸で見物料を稼ぎ、携帯電話も売りさばいてお金を工面し、ヤニスをなんとか救うことができました。
実は、ヴァンキも自分のケータイをもらっていました。それを森の共有の携帯電話にして、これからはみんなでひとつを分かち合い、みんなで支払うことになりました。
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