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Revontulilumi    原書名:  Revontulilumi
 (オーロラ雪)
 作者名:  Riitta Jalonen, 1954~
 リーッタ・ヤロネン
 出版社 / 年:  TAMMI / 2006
 ページ数:  47
 ISBN:  9513136957
 分類:  絵本
 備考:  Aatos ja Sofian sokeriletit
 Hula-hula
 Minä, äiti ja tunturihärkki
 Tyttö ja naakkapuu

【要約】

冬が巡ってきました。サリは、スキーを履いて疾走する列車を見送ると、氷の張った湖へ踵を返します。おとうさんが生きていたころ、よくシーツを持って湖へ急ぎ、それで船を作って遊んだのです。湖から見た森はとても不気味です。けれど、サリは鉄道と湖を後に残して奥へ進みました。森のなかで見つけた廃屋を抜け、暗い洞窟を越え、最後に目にしたものは緑や青や赤に煌めくオーロラでした。オーロラと雪の輪郭が溶けあって美しくひとつになった瞬間を、サリは「オーロラ雪」と呼び、じぶんの名前を刻みます。

おとうさんと築いた思い出や関係を、サリはどんなふうに心に留めたのでしょう。
森の旅で超えたものとは?そして、刻んだじぶんの名前に込めた想いとは?

イラストは、三部作の第一部『とまり木と少女』(2004)、第二部『わたし、おかあさん、ミミナグサ』(2005)に引き続き、クリスティーナ・ロウヒが子どもの視点でやさしく淡く描いています。

【抜粋訳:p.14】

バラード

 サリは、針葉樹林と雪のなかをゆく赤い線でした。着ていた上着もズボンも赤かったからです。もし、上から森のなかを見ている人がいたら、風にあおられたカラフルな鳥の羽根が雪原を舞っていると思うでしょう。

 木々を見ていたら、サリは小さなじぶんを感じました。木々は雲を突き抜けて天まで伸びていました。そして、その梢が雲をあっちへこっちへと動かしているようでした。

 聞こえるのは雪に軋むスキーの音とじぶんの呼吸。森の懐で冬眠しようと、なにか大きな鳥が近くでガサリと音を立てたけれど、それがどんな鳥だったのか、サリは確認できませんでした。

文/訳 末延弘子 リーッタ・ヤロネン著『オーロラ雪』(2006)より


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