【要約】
冬が巡ってきました。サリは、スキーを履いて疾走する列車を見送ると、氷の張った湖へ踵を返します。おとうさんが生きていたころ、よくシーツを持って湖へ急ぎ、それで船を作って遊んだのです。湖から見た森はとても不気味です。けれど、サリは鉄道と湖を後に残して奥へ進みました。森のなかで見つけた廃屋を抜け、暗い洞窟を越え、最後に目にしたものは緑や青や赤に煌めくオーロラでした。オーロラと雪の輪郭が溶けあって美しくひとつになった瞬間を、サリは「オーロラ雪」と呼び、じぶんの名前を刻みます。
おとうさんと築いた思い出や関係を、サリはどんなふうに心に留めたのでしょう。
森の旅で超えたものとは?そして、刻んだじぶんの名前に込めた想いとは?
イラストは、三部作の第一部『とまり木と少女』(2004)、第二部『わたし、おかあさん、ミミナグサ』(2005)に引き続き、クリスティーナ・ロウヒが子どもの視点でやさしく淡く描いています。
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