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Jäiksen housuissa    原書名:  Jäiksen housuissa
 (ウサギ記者と仲間たち)
 作者名:  Maria Vuorio, 1954~
 マリア・ヴオリオ
 出版社 / 年:  TAMMI / 2006
 ページ数:  96
 ISBN:  9513136868
 分類:  童話
 備考:  アルヴィッド・リュデッケン賞受賞作
 Kiitollinen sammakko ja muita satuja järviseudulta
 Orava ja pääskynen

【要約】

好奇心旺盛で面倒見のいいウサギは、編集長のジャコウネズミに勧められて新聞社に務めることになりました。家の老朽化で引っ越しを検討中のモモンガのために家探しの記事を掲載したり、遠方からやって来たカバを取材したり、カバのために歓迎パーティを開いたり。

歓迎パーティでは、森の住人たちが顔をそろえます。郵便配達のガチョウ、通販好きのネズミ、音楽のコマドリ先生、印刷屋のリス、フクロウ校長先生、ハリネズミ調理長。貴賓客のタカは、ハリネズミのアシスタントとして立ち働くことに。

アルヴィッド・リュデッケン賞受賞作の本書では、思いやりをとおして生活する仲間たちの様子や、育まれる友情が、生き生きと描かれています。

【抜粋訳: pp.46-47】

「森にカバがいるんだよ」ジャコウネズミ編集長がためらいもなく言うと、カバの絵がのっている本をウサギに見せました。
「こんなのを見かけたら、取材をよろしく」
ウサギは、その場にかたまりました。
「そろそろ姿をあらわすころだ。氷がとけだしてきたからね。きけんな人物じゃないと思う。たぶん、迷子になったんだろう」
「ここに?」ウサギはふしぎに思いました。
カバの住んでいる場所はとても遠いので、寒いところに生える針葉の森のはずれまで、そんなにかんたんには来れません。
ジャコウネズミ編集長は茶色い頭をさげてうなずきました。
「ぼく自身も、ぼくの別荘がある海岸で、じっさいにこの目で見るまではまるっきり信じていなかったんだよ。カバは、べちょべちょの雪にプカプカ浮いて、カワウソの漁師小屋のところできもちよさそうに泥浴びしていたんだよなあ。カワウソはいなかったんだが、彼はさすらいの旅人だからね、おかしくはない」
「取材しに行ってきます」ウサギは元気よく返事をして、ウールコートにすっぽりおおわれたジャコウネズミ編集長の肩をたたきました。

文/訳 末延弘子 マリア・ヴオリオ著『ウサギ記者と仲間たち』(2006)より


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