【要約】
太陽の光が届かなくても、生命がうまれる場所がある。深海だ。地上では尖端から緑を光合成するけれど、地底では深部から有機物を化学合成する。熱水が噴出する割れ目には嫌気性の細菌が生存し、太古から脈々と密やかに生き抜いてきた。原始生命は闇から生まれ、死の危機に晒されながら、光を生みだした。
創造とは、あるいは、光とは、闇を孕んだ生成なのだろう。極地の冬は長くて暗い。けれども、人びとは生きている。目には見えないけれど、ざわめきに、匂いに、生命の手触りがあり、真実はたしかに在るのだと、インカラは言う。待望の第九詩集。
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