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Keväällä isä sai siivet    原書名:  Keväällä isä sai siivet
 (春にお父さんは、鳥になった)
 作者名:  Tomi Kontio, 1966~
 トミ・コンティオ
 出版社 / 年:  TAMMI / 2000
 ページ数:  261
 ISBN:  9513119475
 分類:  児童小説
 備考:  Lehmä jonka kyljessä oli luukku

【要約】

ある日突然、お父さんの背中に翼が生えた。そしてオーストラリアでもない、そしてアジアでもない、不思議の国「オーストアジア」へと旅立ってしまった。その日を境に双子の兄弟ティモとトミは、冒険の世界へと足を踏み入れていく。そう、「オーストアジア」の存在をひた隠そうとする秘密結社との戦いの火蓋が切られるのです。

ティモとトミは、秘密結社に囚われの身となった。強制収容所に連れて行かれた彼らを待っていたのは、同じく囚われの身となった特殊な能力をもった子供たちだ。時には他の子供たちと対立し裏切られもするが、次第に友情を深め、子供たちは力をあわせて、封印されていた「オーストアジア」へ通じる扉をこじ開けようと策を練る。はたしてその結末は...

好奇心旺盛な子供の視点で現代社会を風刺したこの作品は、2000年度フィンランディア・ジュニア賞を受賞したほか、2001年には同作品で第1回ストゥーラエンソヴァルカウス児童文学賞に輝き注目を集めました。本作品で繰り広げられるファンタジーは続編『Austraasian viimeiset lapset(オーストアジアの最後の子供たち)』(2002, Tammi), 『Maan veli(地球の兄弟)』(2005, Tammi)へと受け継がれます。

【抜粋訳: pp.5-6】

第一章 消えたお父さん

今まで生きてきて、僕には奇妙なことがたくさん起こった。はっきり言うけど、それは、大人はもちろん、多くの子供たちが経験できないことなんだ。僕のこの奇妙な体験を、超自然的だと解釈しようとする人もいる。でも、そんなこと、僕にとってはどうでもいい。そもそも僕は、自然と超自然の境が何なのか知らないんだ。だって子供のころ奇妙に思っていたことも、今では日常のことになって、ごく普通に感じられることが実際いくつもあるでしょ。で、も、ね、僕が今君に話すことは、全て本当に起こったことなんだ。

ちゃんと考えて、何が起こったのか思い出せる今、「数年でどのくらい全てが変わってしまったんだろう」と僕は驚くばかりだ。僕は、もう子供じゃない、そうは言っても大人でもない。もしかすると、たぶん僕は大人になれないのかも。今の僕は何か違う人、普通に歳を取らないような・・・。えーっと僕は何を話してたんだっけ。そう、僕は君に「全てがどのように起こり」、「僕の世界がどのように変わったのか」、そして「それとともに僕がどう変わったのか」を話すんだった。その時、僕は十二歳だった。それから今どのくらい時が経ったのかわからない。一年、いや十年、いや一日、いや一週間、いや数秒なのかもしれない。全てのことがまだ、この近くで今もなお起こっているように感じるんだ。太陽が輝く春の朝、その時僕の家族の人生は、ゆがんだ世界へと迷い込んでいった...

文/訳 末延淳 トミ・コンティオ著『春にお父さんは、鳥になった』(2000)より


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