【要約】
5歳になるリンネアちゃんは、都会のアパートにママとパパとおにいちゃんのポール=アクセルと妹のヴェンドラと暮らしています。
ある夜、リンネアちゃんは眠れなくなってしまいました。クマのぬいぐるみのサッサをぎゅっと抱きしめても、ママがいくら眠るまえの本を読み聞かせても、なかなか寝つけません。恐い夢を見てしまうからです。リンネアちゃんはママといっしょに寝ようとするのですが、リンネアちゃんの睡眠障害はママをも悩ませることになります。ふたりのあいだに生じる葛藤は、ふたりになにをもたらし、どんなふうに処理してゆくのでしょう。ふたたび、恐い夢をみたリンネアちゃんがママのベッドに向かうと、そこにはもう妹のヴェンドラがいました。ママといっしょにいたいという願いは叶わなかったのです。
小さいままでありたいという依存と大きくなりたいという自立が、リンネアちゃんのなかで芽生えます。
親と子どもがいっしょになって、「フラストレーションの処理のしかたを、段階的に学習すること(フレドリック・ハルツベリ)」に注目したい作品です。
挿絵は、優れた児童書イラストに贈られるルドルウ・コイヴ賞を受賞した挿絵画家であり絵本作家でもあるサッラ・サヴォライネン(Salla Savolainen, 1962-)によるものです。サヴォライネンのイラストは、一方で現実的でありながらも、たくさんのイマジネーションをディテールに与え、ユーモラスで楽しい雰囲気を放っています。
アッペルグレン=サヴォライネンの「リンネアちゃん」シリーズは、ヨーロッパを中心に多数の言語に翻訳され、同書は『リンネアちゃんとモンスターママ』(2001)につづく第二弾で、近刊に『リンネアちゃんとこいぬたち』(2005)があります。
|