【要約】
あるところに大きな女の子がおりました。空と大地のあいだをうめるほど大きく、足跡は湖になり、涙は川になり、ちょっと手を動かすと気流が乱れるほどでした。大きな女の子は穏やかで人恋しく、小さな花や虫をルーペで見るのが好きでした。ただ、あまりに大きくて誰も気づいてくれません。大きな女の子は、自分のことに気づいてほしくて町に出ました。ところが、町は足の踏み場がなく、うっかりすると車や人を踏み潰しかねません。大きいことは生きづらいと思った大きな女の子は、ふたたび森に帰りました。
そんな大きな女の子を、小さな男の子が森で見かけました。もともと、星や惑星や月といった大きなことが好きだった小さな男の子は、もう一度大きな女の子に会いたくて望遠鏡で昼も夜も空を見つめました。
大きな女の子はひとりぼっちで寂しくて泣いていました。小さな男の子は、大きな女の子の足もとまで来ると、気づいてもらいたくて大きな女の子の足の上で踊りはじめます。くすぐったさにようやく気づいた大きな女の子は、小さな男の子を手の平に載せて、二人は見つめ合いました。
「ぼくは大きな女の子にあこがれていました」
「わたしは小さなものこそいちばん美しいと思っていました」
そうして二人は友だちになり、一緒に過ごしました。
おたがいの中の大きな存在にあたたかく寄り添う物語です。
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