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【要約】
ラップランドにまもなく冬が来きます。南へ渡るはずだったホオジロが、森の外れに降り立って、光差す朝を待つ年老いたトナカイに出会いました。いっしょに南へ行こうと誘いましたが、トナカイはこれから遠くの美しい国へ行くのだと言って動きませんでした。憂いを浮かべるトナカイを、一人のこして飛びたてず、ホオジロはトナカイの傍で冬を越そうと決心し、トナカイの毛皮のなかに身を寄せました。
雪が降り、厳しく黒い夜がやって来ました。
極寒にホオジロは凍え、トナカイは力を振り絞ってホオジロを口の中に入れて暖めました。偶然にも、ホオジロの羽にくっついていた三粒のモミを、二人でわかちあい、飢えを凌ぎます。一粒はホオジロに、一粒はトナカイに、最後の一粒は春が来たときのために残しておきました。
やがて、太陽が顔をだし、ホオジロの仲間もふたたび帰ってきました。ホオジロたちはトナカイの角に巣を作り、トナカイは喜びに溢れて目を閉じました。
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【抜粋訳】
ホオジロはトナカイの懐からはい出ると、トナカイの角にさっと飛びのりました。翼を広げたホオジロは、仲間の群れが飛びさってしまったことに気づいてあわてました。空高く舞いあがって、ぐるりと見わたしてみたものの、空を飛んでいる鳥は一羽もいません。しかし、ホオジロはトナカイを見て、もっとあわてました。
「ねえ、どうして動かないの?はやく起きあがって!」ホオジロは、おろおろしながらトナカイに言いました。
「起きあがれるものならそうしたい。さあ、雪と氷が来るまえに、きみは友だちといっしょにお逃げ」
トナカイの言葉に、ホオジロの胸はいたみました。元気のないトナカイをかわいそうに思ったのです。ホオジロはトナカイの鼻にちょこんと飛び乗って、お母さんが歌ってくれた歌をうたいました。
ひとりぼっちの夜は
寒さに凍えてしまいます
でもふたり寄り添いあえば
寒さは愛をおしえてくれます
ホオジロは歌い終えると、トナカイの耳のなかにもぐりこんで、丸くなって眠りに落ちました。
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文/訳 末延弘子 エスコ=ペッカ・ティーティネン著『ホオジロとトナカイ』(1990)より
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