【要約】
夏やすみが始まった六月、サトゥはシモネおばあちゃんの家に遊びに行きました。川をのぞむ丘のうえに立つ、青い窓枠のベージュ色のシモネおばあちゃんの家は、リラの茂みに囲まれています。
シモネおばあちゃんはフランス生まれで、庭師のクイスマおじいちゃんと結婚しました。クイスマおじいちゃんはもう亡くなりましたが、庭は草花が四季をとおして咲き誇っています。クイスマおじいちゃんの墓前に植えたパンジーの花を見ると、シモネおばあちゃんとサトゥは、はらはらと涙をこぼしました。
シモネおばあちゃんは、ローズマリーにラベンダーといったフランスのハーブや、ダリアやマリーゴールドやカラシナやヒマワリといった一年草を育て、クイスマおじいちゃんは世界のめずらしい多年生の植物を植えていました。
あるとき、サトゥは風のわたる草原で聞きなれない声を耳にしました。樫の木に登ったら、洋なしの枯れ枝のような小さな男があらわれました。その小さな男は、クイスマおじいちゃんとおなじ緑のソフト帽をかぶっていました。
小さな男は、洋なしの木の枝でピルスと言いました。ルバーブの葉陰に住んでいて、庭木の手入れをしたり、草花を植え替えたり、肥料や水をやったり、雑草をむしったり、手ぎわよく庭の仕事をしました。
シモネおばあちゃんが昼寝をしている間、サトゥはピルスと庭仕事をするようになりました。ピルスの手ほどきで、サトゥはクレマチスやオダマキやサクラソウやヒナゲシを植えたり、イラクサを水につけて肥料をこしらえたり、堆肥をつくったり、カタツムリやユリクビナガハムシは葉っぱを食べる害虫だと教わったりしました。
ある雨あがりの日、ピルスがイラクサの茂みのなかに倒れていました。イラクサの肥料をバラにあげてと言い残して。サトゥはシモネおばあちゃんにピルスのことを話すと、シモネおばあちゃんはピルスを土に埋めてくれました。
八月。実りの季節に、シモネおばあちゃんはニンジンやズッキーニを野菜畑で収穫し、ベリーを摘んで、ハーブを乾燥させました。サトゥは、ピルスとの庭の約束を心にとめて、秋から小学生になりました。
サトゥと洋なしの木のピルスとの夏の庭の物語に、庭の手入れのヒントやワンポイントアドバイスが載っています。ほかに、草花の学名や植物の生態がピルスの言葉で語られ、シモネおばあちゃんのハーブのお話やパイやジャムのレシピもついた、ガーデニング絵本です。
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