【作品の概要 / 羽根の鎖がつなぐもの】
人間の住む「影の国」に生きる主人公の少女エレイサには、鳥の世界や言葉を理解する秘めた力があります。ある日、天高く壮麗に舞う「鳥の国」の守護神の息子タカを目にしました。その凛とした飛翔をもっと見てみたいと思ったエレイサは、惹かれるままに両手を伸ばしてタカの足をつかもうとしたために、鋭い爪で両目を奪われてしまいました。ふたりは鳥の国の裁判にかけられ、おたがいの軽率で省みない好奇心から生じた罰として、羽根の鎖でつながれることになりました。羽根の鎖の魔法を解くために、エレイサとタカは「鳥足小屋」に住む三人の魔女の知恵を借りながら一緒に旅をします。旅の途中、道化の人生を歩むマスク少女やワタリガラスのフキといった案内人も登場します。旅をとおして、エレイサとタカはなにを知るのでしょうか?そして、羽根の鎖がほんとうに繋ぐものはなんなのでしょうか?
『羽根の鎖』(小峰書店 2006/9月刊行)は、フィンランドの現代童話の書き手であり現代児童作家として活躍しているハンネレ・フオヴィ(Hannele Huovi, 1949-)の初の邦訳作品となります。童話のほかに、ヤングアダルト小説、児童小説、児童詩、童謡なども手がけ、フィンランド政府賞やIBBY(国際児童図書評議会)オナーリスト賞受賞など国内外で高い評価を得ています。同作品は、フィンランドでもっとも歴史のあるトペリウス賞を受賞し、国際アンデルセン大賞候補にもなりました。
エレイサとタカは、けっして平坦ではない旅を体験しながら、成長してゆきます。鳥の国で他者とかかわることで、他人を受け入れる気持ちを育んで、じぶんを見つめなおします。そして、物事や行為は、すべてにおいて意味があるということを知ることになります。優しく美しい情緒にあふれたフオヴィの言葉はイメージと想像力を紡ぎだし、「子どもは詩」と考えるフオヴィらしい驚きや畏怖や関心にあふれた世界が、わたしたち読み手に感動を与えてくれます。
【邦訳情報】
邦訳名:羽根の鎖
作者名:ハンネレ・フオヴィ
翻訳者:末延弘子
出版社:小峰書店
邦訳年:2006/09刊行
(予価1,600円)
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【原書情報】
原書名:Höyhenketju
作者名:Hannele Huovi
出版社:Tammi
初版年:2002
ISBN :951-31-2599-8
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【その他】
この作品については、 『おすすめ作品3』で紹介しています。その他の作品は、 『おすすめ作品20』と 『おすすめ作品26』で取り上げています。抜粋や訳を載せていますのでご参考にしてください。ハンネレ・フオヴィについては、作家紹介ページを参照してください。(ハンネレ・フオヴィのサイトに日本語訳された『羽根の鎖』のことが触れられています。)
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