【要約】
おおきいくまのタハマパーは、森の中の嵐で倒れたモミの木の下に住んでいます。力もちでおだやかでやさしいくまです。もちろん、人間は食べたりしません。食べるのはベリーとハチミツで、大好物は大きなソーセージです。ときどき、ゴミ箱に捨ててあるソーセージを拾うので、それを目撃した人間に警察へ通報されたこともありました。「どうやら人間はじぶんを恐がっているみたい」と、タハマパーは考えます。
タハマパーの家に、元気のいいりすのタンッピと、つんつん針をもったはりねずみのヴェイッコと、かっこいい角をもったヘラジカのイーロが訪ねてきました。そこで、タハマパーは「みんなで友だちになろう」と提案しました。しかし、「友だちってなんだろう」とみんなは頭をつきあわせて考えます。
角がある子もいれば歯がある子もいる。針をもっている子もいれば毛がある子もいる。おいしいと思う食べ物もちがうし、散歩をしながら見える景色もちがいます。それでも、ありのままの自分でいられるのが友だちなのです。四人は友情同盟を結んで、困ったときは助けようと誓いあいました。みんなは前足や蹄で抱きあいました。もちろん、つんつんしているヴェイッコとも「友だちなら抱きしめられるのです」。
さっそく困ったことが起こりました。
町の公園に遊びにいったイーロは、人間の女の子に馬のほうがいいと言われました。落ちこむイーロに、「馬よりかっこいいよ」とタンッピは励ましました。かわって、あわてんぼうのタンッピは、ある日、ナッツをくれるおばさんを"手なづけた"と言いました。ところが、もらったナッツ袋をどこに隠したのか忘れてしまった様子です。よく気が回るヴェイッコはナッツ袋を探し当てて、食べすぎで太ったタンッピに「ときには忘れたほうがいいよ」とアドバイスしました。
ある日、森からいやな匂いが漂ってきました。自然写真家が木のうえにテントを立てて、死骸でタハマパーをおびき寄せようとしていたのです。気のいいタハマパーは、しかたなく自然写真家につきあってあげました。ほんとうはソーセージのほうが好きだけど、死骸に興味をもっているふりをしたり、二本足で立ってみせたり、手をふってあげたり、ポーズをとってあげたりしました。ウォーとうなったとたん、自然写真家はカメラを落としました。それで、今度は、タハマパーが自然写真家をカメラに収めました。タハマパーは満足してゆうゆうと立ち去り、友だちのみんなは歓声をあげました。
動物たちから見た人間のふるまいに、あるいは、友だちとのつきあい方に、「自由」をあらためて捉えなおす一冊です。
同書は、やさしい文庫シリーズ「黄色いくちばし文庫」の一冊で、小学校に上がる前の子どもたちが対象です。『おおきいくまのタハマパー』の続編に、『おおきいくまのタハマパー いえをたてる』(2008)があります。
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