【要約】
猫のマウと犬のバウは、空と森をわかつ丘の上の空色の家に住んでいます。気まぐれなロマンチストのマウのために、バウはクリスマスプレゼントを用意しました。ベニヤ板をつなぎ合わせてつくった、それはそれは大きな雪玉アドベントカレンダーでした。マウは喜んで、さっそく1日目の窓をこじ開けました。そこには斧が入っていました。喜んだのもつかのま、しっかりと固定されていなかった雪玉が丘を転がりはじめたのです。雪玉は、ニワトリのフォン・ゴットの納屋を潰し、ウシのムーッコネンのベランダを壊し、アヒルのクヴァークの温室やポッス婦人の煙突を倒して、湖に沈んでしまいました。
マウはプレゼントを失ったことを悲しみ、バウは村の皆に迷惑をかけてしまったことに落ちこみ、村の皆はとつぜんの天災に言葉を失いました。バウが壊れた家屋の修理にいそしむ一方で、マウは家々でお茶をごちそうになりながら、自分へのクリスマスプレゼントが湖の底に沈んでしまった悲しみをくりかえし語って、同情をあおります。天災だと思いこんだ村の皆は、必死になって復旧に努めるバウとマウに感謝して、皆で協力して湖に沈んだ雪玉アドベントカレンダーを引き揚げました。
引き揚げた雪玉には、バウからマウへ宛てたクリスマスメッセージがついていました。村の皆は唖然とし、これは天罰でもなんでもなくバウとマウのせいだということに気づきます。バウは罪悪感にさいなまれ、村から出ていくことを決意しました。クリスマスを取りやめることをマウに伝え、家ごと引っ越せるように、巨大なスキー板を作りました。一方、マウはクリスマスもクリスマスプレゼントもあきらめきれず、あることを思いつきました。
それは、小人に扮して、雪玉はサンタクロースからマウへの贈り物だということを皆に信じこませることでした。雪玉はふたたび湖から引き揚げられ、ウシのムーッコネンやウマのイハライネンやロバのオインクヴィストを先頭に、丘の上へ運ぶことになりました。ところが、途中で小人の正体に気づいた皆は、あきれて踵を返します。
バウは恥ずかしさのあまり引っ越しの決意をいっそう固めました。旗竿をマストに掲げ、マウが作ったクリスマスカーテンを帆に張って、クリスマスイブを明日に控えた吹雪の晩に、いよいよ出発します。ところが、巨大なスキー板が庭に置きわすれたマウの斧に引っかかり、舵をとられた家は村めがけて滑りだしました。村では、どの家もクリスマスをあきらめていました。クリスマスの支度も整わず、寒風が貫く家の中でとても寂しく寒い思いをしていました。そんな中、スキー板に乗ってやってきた二人の家は、思いがけず歓迎されました。家の中は暖かく、クリスマスの飾りとごちそうで溢れ、皆は喜びました。バウは小人に扮して、バウとマウ以外の皆にプレゼントを配りました。マウも反省し、それでいいと思いました。バウはマウに夜空をプレゼントして、許してあげました。
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