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Ella ja kaverit 1-3    原書名:  Ella ja kaverit 1-3
 (エッラとゆかいな仲間たち1-3)
 作者名:  Timo Parvela, 1964~
 ティモ・パルヴェラ
 出版社 / 年:  Tammi / 2007
 ページ数:  116
 ISBN:  9789513132965
 分類:  児童書
 備考:  Maukka ja Väykkä rakentavat talon
 Maukka, Väykkä ja mieleton lumipallo
 Onnenpyörä
 Hilma ja täydellinen lemmikki / Hilma ja hyvä harrastus
 Karuselli
 Maukka ja Väykkä
 Keinulauta
 Ella aalloilla
 Sanoo isä

【要約】

小学一年生のエッラには、楽しくてゆかいなクラスの仲間がいます。もの知りトゥーッカ、泣き虫サンッパ、ちょっぴり鈍感なパテ、しっかり者のハンナと、ふつうだけど侮れないティーナです。そして、いつもおろおろしている担任の先生。

先生は、ある手紙をきっかけにがらりと変わりました。宿題をよく出すしっかり者だったのに、無精ひげを生やしてあやしい行動をとるようになりました。エッラたちは、先生がもらった手紙は脅迫状だと推理します。手紙には切手が貼っていなかったので、学校関係者かもしれません。教え方に不満な校長先生?身代金を要求する管理人さん?Bクラスのいじわるな女の先生?ハゲ頭の体育の先生?それとも、小柄で気難しい英語の先生?

エッラたちは、変装して先生の家を訪ねます。玄関に「木曜の夜9時15分に駅公園で」と書かれたメモ紙を発見して、先生救出作戦に出ます。約束の場所でなにが起こるのでしょうか。先生はほんとうにゆすられているのでしょうか?

エッラとゆかいな仲間たちのユーモアが事件を楽しく解決します。

「エッラとゆかいな仲間たち」シリーズ(1995-)は、現在、第12弾まで刊行されている小学低学年向け児童書です。同書には、第3弾まで収蔵されています。第1弾『Ella ja kiristäjä(エッラとなぞのきょうはく状)(1995)に引き続いて、第2弾『Ella teatterissa(エッラとドタバタ劇)』(1996)ではエッラたちのクラスでクリスマス劇「東方の三博士の来訪」を披露し、第3弾『Ella luokkaretkellä(エッラとスリリングな社会見学)』(1997)では「教養を身につけるために」レストランや美術館や動物園を回ります。『エッラとスリリングな社会見学』は1992年度IBBYオナーリスト賞を、『エッラとパテのロックンロール』は、2005年度フィンランド児童書評議会(IBBYフィンランド)タンペレ支部主催プラッタ賞を受賞しました。

【抜粋訳: pp. 7-11】

 わたし、エッラ。小学一年生。わたしのクラスはおもしろくて、担任の男の先生もおもしろいです。というか、このまえまではおもしろかったです。

 先生は、このまえまでは、きちんとしていました。宿題もたくさんだしたし、授業ちゅうにうるさくする子がいたら、しずかにしなさいと注意もしていました。でも、ある日から、すっかりかわりました。先生は黒板のことをイスと言って、宿題をだすのもわすれて、クラスの男子のものしりトゥーッカと泣き虫サンッパが授業ちゅうにアイスホッケーの写真をこうかんしているのに、気づいていませんでした。

 つぎに、手紙がきました。サンッパが教室にボールをとりにいったときに、イスにすわって手紙をよんでいる先生を見かけました。先生は顔をまっかにして、手紙をもつ手はぶるぶるふるえていました。先生がサンッパに気づくと、手紙をカバンのなかにかくして、わざとにっこりしました。サンッパは土足のまま教室にはいったのに、先生はしかりもしませんでした。

 先生はとってもあやしくなりました。そこで、わたしたちは、先生がゆすられているのだと思いました。
 まっさきにそう思ったのは、ハンナです。
「それはきょうはく状よ」ハンナは手紙のことを聞いて言いました。
「きょうはくって、どういうこと?」ドンカンなパテが聞きました。
「おどされる人って、きまって、いつもピリピリしてるじゃない。おかしな行動をとるし、手紙ももらうわ」ハンナが言いました。
「ということは、ぼくのおとうさんもおどされてるんだ。電話きょくから手紙がくると、いつも動きがあやしくなるもん」サンッパがぶつぶつ言いました。
「きょうはく状には、きまってスーツケースいっぱいのお金を夜中に公園までもってくるように書いてあるはずだ」なんでも知っているトゥーッカが言いました。
「先生はなんで公園にお金をもっていくわけ?」パテはふしぎそうです。
「だれかが先生の子どもを人質にとったからだよ」と、トゥーッカ。
「先生に子どもはいないわ」と、ハンナ。
「それじゃあ、先生の奥さんがゆうかいされたんだ」
「先生は結婚してないわ」
 先生には子どもも奥さんもいないのに、カバンいっぱいのお金を公園までもっていくのはおかしいと、みんな思いました。
「先生、かわいそう。わたしたちで助けてあげなきゃ」ハンナが言いました。
「どうやって?」パテが聞きました。でも、だれも答えられません。たいがいのことなら知っているトゥーッカですらなにも言いませんでした。わたしたちは、様子をみることにしました。

文/訳 末延弘子 ティモ・パルヴェラ著『エッラとゆかいな仲間たち1-3』(2007)より


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