大まかなストーリー展開は『Kalevala』と同じですが、Paavo Haavikko (パーヴォ・ハーヴィッコ, 1931~)は、『Kullervon tarina』の中で独自の世界観でKullervo像を抽出しています。単なる「性悪説」のような根っからの悪童ではなく、不遇の環境、それに伴う無知さ、無垢さ、そして度重なる不運が「悲劇の子Kullervo」を形成したように作品を仕上げています。
物語の設定においても下記の点が『Kalevala』と異なっています。
◇ 両親はUntamoに襲われた際、既に森に逃げ去っていること。
◇ Kullervoが売り飛ばされる先が鍛冶屋ではないこと。
◇ 石の入ったパンが心を映し出す鏡の役割に変わっていること。
◇ 若い女主人がKullervoのよき理解者であること。
◇ 石で創られた女性が登場すること。
◇ Kullero(西洋金梅)という花が両親のもとに導くこと。
◇ 妹はその境遇を受け入れて自殺しないこと。
◇ 母親は、Kullervoと妹の関係を知り、世の中の掟を語こと。
◇ 母親が、妹が悪疫をもたらしたとして、毒殺すること。
上記のような設定変更があります。この点に関しては、各曲を説明する際に記述を加えます。