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 Paavo Haavikko - Kullervon tarina - Amorphis - eclipse

 

フィンランドを代表するMelodic death metalバンドAmorphisがアルバム「eclipse」(2006)をリリースしました。このアルバムの歌詞は、Paavo Haavikkoの劇作『Kullervon tarina』(クッレルヴォの物語, 1982,1989)に基づいています。

アルバムのリリースが今年のはじめでしたので時期的に遅れてしまいましたが、『Kullervon tarina』のあらすじを辿りながら、各曲の背景について大まかに綴ってみます。日本にもたくさんAmorphisのファンがおられると思います。多少なりともご参考になれば幸いです。

 
 
Kullervoの不遇の始まりは、そもそも親の世代から始まります。Kullervoの父親とその兄弟が幼少期に鷲と鷹に連れ去られたと『Kalevala』は記しています。それから月日が経ち、成長した兄弟は互いに一族をもち、お互いが敵対関係となります。兄弟の一人Untamo(ウンタモ)は、Kullervoの父親Kalervo(カレルヴォ)の一族を滅ぼします。Untamoは唯一身重の乙女だけを助けます。この乙女が産んだのがKullervoです。

幼いにもかかわらずKullervoは両親の復讐を口にします。これに驚いたUntamoは様々な方法を使ってKullervoを殺害しようとします。しかし、Kullervoを殺すことが出来ませんでした。仕方なくUntamoは成長したKullervoに仕事を与えます。しかし、Kullervoは持ち前の怪力と無知さで仕事を全て台無しにしてしまいます。そこでUntamoは鍛冶屋Ilmarinen(イルマリネン)にただ同然でKullervoを売り払います。

鍛冶屋に雇われたKullervoはそこで牧童となります。ここで事件がおきます。鍛冶屋の妻が昼食に持たせたパンをKullervoが父の片身の小刀で切ろうとした時、小刀が砕けてしまいます。これは鍛冶屋の妻の意地悪で焼いた石の入ったパンをKullervoに持たせたためです。この行為に激怒したKullervoは、狼と熊に鍛冶屋の妻を殺害させます。そして、主人に気付かれる前に逃走します。

Kullervoは森でとある婦人と出会います。その婦人から死んだはずの両親が生きていることを教えられます。彼は、北西に三日間歩き続け、荒れ果てた家屋を見つけます。そこで両親と再会します。そして、苺を摘みに出かけたまま行方不明の妹がいると聞かされます。

Kullervoは両親と生活をはじめます。両親はKullervoに仕事を与えます。しかし、無知で粗暴な資質があらわになり、仕事になりません。そこで両親は、Kullervoに税金を納めに行く(年貢のようなもの)ように頼みます。何事もなく税金を納めたKullervoは帰途につきます。

帰宅途中に森でKullervoは、乙女に声をかけます。しかし、相手にされません。最後に声をかけた乙女も拒みましたが、Kullervoは宝物(高価な装飾品)を見せつけ乙女を誘惑します。そして誰とも知らないまま、その乙女と一夜を共にします。

翌朝、Kullervoと乙女は互いの素性を語ります。乙女が、行方不明の妹であると判明します。実の兄と一夜を共にした妹は、川に身を投げ自殺をとげます。Kullervoは帰宅し、一部始終を両親に語ります。そして、自分の悲劇的な人生を嘆き悲しみます。

Kullervoの怒りの矛先は、Untamo一族への復讐に向けられます。母親は戦に行くのを諌めようとします。しかし、Kullervoは戦で死ぬなら本望と言い切ります。それに他の父親と弟、そしてもう一人の妹にKullervoは見放されます。Kullervoは戦に出かけます。Untamo一族を殺害し、住処を焼き払い、復讐は完了します。

Kullervoは戦から戻ってきます。既に両親、弟、妹は亡くなっていました。誰も住んでいない家で孤独になったKullervoは悲嘆にくれます。 亡き母に「何か自分に残してくれたものはないか」訴えかけます。「犬を残しておいたから、犬と森で食料を探しなさい」と母親の霊魂はKullervoに答えます。Kullervoは犬と森に出かけます。

そして、嘗て妹と知らず、一夜を過ごした悲劇の場所に辿り着きます。悲しみが込み上げたKullervoは刀を抜き、汚れた私の肉体を食べ、汚れた血を啜ってくれと刀に懇願します。刀は了承し、Kullervoは自決します。

Kullervoの訃報を聞いた『Kalevala』の英雄Väinämöinen(ヴァイナモイネン)は格言を述べます。「Kullervoのように子供を誤って育ててはいけない」と。これで『Kalevala』のKullervoのお話は完結します。