KIRJOJEN PUUTARHA
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スウェーデン支配下時代の文学 |
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ピア・カンツォーネ中世に残されたフィンランドの文献に特徴的なのは、西洋のキリスト教会文学、すなわち聖者伝説や年代記、宗教詩や俗謡、また奇跡物語などを含んでいることです。このような特色を備えた代表的作品に、前の項目で述べた聖ヘンリックの伝説と『ピア・カンツォーネ』(1582)があります。神聖歌集『ピア・カンツォーネ』は、中世のラテン語文化をフィンランドに伝えました。歌集には70近くの歌が収められており、宗教的な歌や教会組織に関する歌、またキリスト教会学校の教えなどが含まれています。 ここで、『ピア・カンツォーネ』を介しフィンランドに伝わった詩として、幾つか例を見てみましょう。「異境地にて」は、一般的な教会学校の教材です。これは変動的な現世を語っています。救済者のみが我々を死から救い出すといった宗教的な意義で解釈できる一方で、不安定で変わりやすい俗世界やそこから抜け出そうと足掻いているとも解釈できます。
最終詩「百花繚乱」も、この世とあの世の緊張感を表現しています。ここでは、現世の世界を肯定的に語り、神の創造した世界を評価するべきだと述べています。
『ピア・カンツォーネ』のスウェーデン語訳とフィンランド語訳は17世紀初頭に登場します。スウェーデン語訳はシグフリッド・アロヌス・フォルシウスが、フィンランド語訳はヘンミンギウス・マスクライネンが手掛けています。このような中世ラテン語文学の歌謡伝統はフィンランドで長く受け継がれていくことになります。 |
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