【作品の概要 / 群れの物語】
「わたし」がひそかに「蜜蜂の館」と名づけた古い邸は、かつて「心の病の診療所」として機能していた。
現在、館は、多くの団体の集会所となっている。爬虫類学的同好会、ダールグレン症候群協会、喉歌合
唱団、地方自治学振興会、ストーム同好会、水上オートバイチーム、スタインヴュルツェル家系協会、脱字者、失われた言葉の友、パラジスト、鼻声クラブ、キュニコス会、科学的世界像の犠牲者支援。新しい顔ぶれもいる。預言者、ドルフィーの母、ラッダイトクラブ、呼吸者、そして、移ろう現実クラブだ。館の地下は、フロイトに傾倒しているライ婦人主宰の劇団「心臓と肝臓」と、ハイブリッド型ロボットの「ハイブロット」と共生している失業中の神学者シーグベルトの住居があり、地上階には、ポルノショップ「快楽」がある。
さまざまな考えが交差する館に、もう一人、出入りする美しい人がいる。聾唖の掃除パートのラハヤだ。彼女は、多様な世界と現象を、ワックスやクレンジングクリームやモップで真摯に繋いでゆく。ラハヤが掃除に訪れるたびに開示される、新たな世界、新たな視点、新たな真実。「わたし」が入っている「移ろう現実クラブ」のメンバーの不可思議な体験。これらは、わたしたちに何を問い、わたしたちの何を試すのか。
わかち合う現実、連なりあう世界、そして、存在することの意味を、クルーンは邦訳第4弾となる最新刊で深く、根本的に問う。(末延弘子訳 新評論より11月初旬刊行)
【邦訳情報】
邦訳名:蜜蜂の館 群れの物語
作者名:レーナ・クルーン
翻訳者:末延弘子(2007年度フィンランド政府外国人翻訳賞受賞者)
出版社:新評論
邦訳年:2007/11刊行(予価2520円)
ISBN :978-4-7948-0753-3
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【原書情報】
原書名:Mehiläispaviljonki. Kertomus parvista
作者名:Leena Krohn
出版社:Teos
初版年:2006
ISBN :951-85-1099-7
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【その他】
この作品については、 『おすすめ作品』で紹介しています。抜粋や訳を載せていますのでご参考にしてください。その他の邦訳されている作品は、 『ウンブラ-パラドックス資料への一瞥』、 『タイナロン-もう一つの町からの便り』、 『木々は八月に何をするのか』、 『ペレート・ムンドゥス ― ある物語』で取り上げています。レーナ・クルーンについては、作家紹介ページを参照してください。
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