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Heinähattu ja Vilttitossu joulun jäljillä    原書名:  Heinähattu ja Vilttitossu joulun jäljillä
 麦わら帽子のヘイナとフェルト靴のトッスのクリスマス―トンットゥの足あと
 作者名:  Sinikka Nopola, 1953~ & Tiina Nopola, 1955~
 シニッカ・ノポラ&ティーナ・ノポラ
 出版社 / 年:  TAMMI / 1993
 ページ数:  127
 ISBN:  9513102483
 分類:  児童小説
 備考:  Risto Räppääjä saa isän
 Risto Räppääjä ja kuuluisa Kamilla
 Heinähattu, Vilttitossu ja kielletty kampela
 Heinähattu, ja Rubensin veljekset
 麦わら帽子のヘイナとフェルト靴のトッス ―なぞのいたずら犯人―
 トルスティは名探偵 ヘイナとトッスの物語2
 へイナとトッスのクリスマス―フィンランドからのおたより―
 へイナとトッスからの手紙―講談社 青い鳥文庫

【要約】

クリスマスを前に、カッティラコスキ家ではクリスマスの支度に大わらわです。ハンナは、大掃除やら、クリスマスプレゼントの用意やら、クリスマス料理の準備に息つく暇もありません。今年は、実家のばぁばがクリスマスに飽きて南へ旅行に行ってしまったので、残されたじぃじがカッティラコスキ家でクリスマスを過ごすことになりました。ヘイナとトッスとペッテリは大喜びで、じぃじとクリスマスの遊びを楽しみます。雪合戦、手遊び、ボードゲーム、歌遊び、「東方の三博士」(キリスト誕生エピソード)ごっこと遊びにつきませんが、なかでもサンタクロースのお手伝いの小人のトンットゥのお話に子どもたちは興味津々です。鈴のついた赤い三角帽をかぶったトンットゥは、ふだんは姿を目に見えません。じぃじの離しによると、納屋や森やサウナ小屋に棲んでいて、トンットゥのご機嫌を良くすると家を守ってくれるというのです。その話を聞いたトッスは、トンットゥへの贈り物として、物置小屋に食べ物を持って行くことを思いつきました。

地下室の貯蔵庫には、クリスマス料理がずらりと作りおきされています。スウェーデンカブやじゃがいもなどの各種グラタン料理にローストハム、ニシンの酢漬けに赤カブサラダ、ジンジャークッキー生地にデコレーションケーキ。ところが、次から次へと料理が消えてゆく不可解な事件が起こります。料理を食べたのは、きっとトンットゥだと信じて疑わないトッスをよそに、事件はとうとう警察沙汰になり、隣のアリプッラ姉妹まで巻き込むことになりました。

アリプッラ姉妹は、クリスマスに心おきなくお腹いっぱい食べることができるように、「アドベント・ダイエット」を始めました。いよいよクリスマスも明日に控え、マッティと子どもたちはアリプッラ姉妹と一緒にモミの木を採りに森に入ります。結局、ハンナの望みどおりのモミの木が見つからないので、市場で枝ぶりの悪いぱっとしないモミの木を買うことになってしまいました。

はたして盗まれた料理はどこへ消え、犯人はだれなのでしょうか?ほんとうにトンットゥはいるのでしょうか?トンットゥを信じる子どもたちの純粋な心から繰り広げられる、ヘイナとトッスのクリスマスの物語。今回は、でぶっちょ警官の幼少時代とハリセのナポリでのロマンス、そして、ハンナとひょろめがね警官の意外な歌唱力について語られます。「麦わら帽子のヘイナとフェルト靴のトッス」シリーズ第5弾。

【抜粋訳:pp.18-19】

麦わら帽子のヘイナとフェルト靴のトッスと弟のペッテリは雪の城を作っています。ヘイナとトッスは雪を転がして玉をこしらえ、じぃじは壁を作っています。ペッテリは雪を食べるのに夢中です。

「じぃじ、トンットゥのお話、もっと聞かせて」と、ヘイナが言いました。
「今度は、どんなことを話そうかのお」と、じぃじは考えこんでいます。
「たとえば、トンットゥの食べ物のこととか話してよ」
トッスにうながされて、じぃじはメガネをハンカチでふきながら話しはじめました。
「トンットゥ・・・そうじゃのお、消化のいいものを食べるのお。野菜とか、ハーブとか、ベリーとか。乾パンもすこしかじるかのお。甘いのも好きじゃ。とくにジンジャークッキーかの」
「肉はどう?」と、トッス。
「いかん!肉は危険じゃ。トンットゥのお腹は肉を消化できんのじゃ」
じぃじが声を荒げたので、トッスは固まったようにその場に立ちつくしました。
「そうじゃ・・・かつて、ある小人が肉をほんのちょっと味見したら、発作を起こしてのお。お腹をかかえて七転八倒したそうじゃ・・・」
すると、トッスはじぃじのそばまでぐいっと近づいて、目をのぞき込むと、小さな声で言いました。 「それで、おうちの人を守れなかったの?」
「守れなかったどころか、子どもたちへのプレゼントも用意できんかった」
「いかないと」
そうトッスはつぶやくと、なかへ駆けこみました。

文/訳 末延弘子 S. & T.ノポラ著『麦わら帽子のヘイナとフェルト靴のトッスのクリスマス―トンットゥの足あと』(1993)より


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