【要約】
ヘルシンキで仲間と問題を起こしてしまった16歳のパンク少女サラ。神経症の母親や再婚相手の継父の手に負えず、ヘルシンキから離れた叔父の家に預けられ、「くそムカつく」新生活を始めます。サラを取り巻く環境も人生もどんよりとした「くそムカつく」ことばかり。愛想のない叔父イュルキ、自己主張ばかりする厚かましい親戚一同、愛情を独占する異父妹ピンヤ、減らず口を叩く祖母、敵対心と警戒心たっぷりの叔父の猫ディアナ、パッとしないクラスメート、いちいち気に障るイジメられっ子のモナ・リザ、サラに積極的に好意をよせるラウスキ、そして過去に苛まれる自分自身。
それでも、サラの心を惹きつけたのは、チャットで知り合った謎の少年マークでした。素性を知らないまま、サラはマークに自分についての物語をメールで送ります。親の離婚によって崩れてしまった過去の自分、従順でフルートを愛していた自分が変わってしまった経緯や原因や行為を探すように、顔の見えないマークに語るのです。けれども、サラの自分の暗い影と自我との対立を助け、新たな人生の扉を開いてくれたのは、自分とは正反対の不器用な少女モナ・リザでした。「他人を思いやったり気にかけたりしない人は、さもしいわ」と言うモナ・リザに、サラは心のなかで抑えていた感情を吐きだします。堰をきったあとに残ったのは、新たな自分が歩む新たな可能性でした。
サラはどんなふうに人生に光を見いだしたのでしょうか。絶望と失意しかなかったサラに、ふたたび希望と目標を与えてくれたものは、いったいなんだったのでしょうか?そして、謎のマークにデートに誘われたサラの返事は?
サラのヘルシンキ時代が描かれた『アスファルト兵士(Asvalttisoturi)』(1997)はトペリウス賞を、その続編としてサラを主人公にした同作品はプラッタ賞に輝きました。「サラ」シリーズは、マークとのその後を描いた『待ち合わせは夏のノッティンガム朝6時(Sara Nottinghamissa kesällä kello 6)』(1999)に続きます。
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