【抜粋訳: p.26】
春の光 II
しばらくすると空にターコイズの筋が走る
凪いだ森のはるか彼方
ミントにくるまれた雪の結晶の波柱
梢のむこう 色は
ますます濃くなって ますます清んでゆく 大気の水はどうやって
その刃を折りたたんでいられるのだろう
澄んで濁って 濁って澄んで
いちばん近い幹に消え
倒された地中海の残り火に浮く幹に消え
空のたったひとつの 最後の色
微かにほのめく空の皿のごく一部
そこから僕の瞳は僕の瞳を食べるんだ
ターコイズの風船は大地を割って流れゆく
弾けた音もそのままに
日没の唾のかけらからぐんぐん伸びる
光みずからの感覚
結晶に 雫に 光線に 枝に あまねくあったりなかったり
空のたったひとつの 今ここにある色
|