フィンランドは1917年になってようやく独立国家になりました。フィンランド文学は変動的な歴史を経て発展し、
フィンランド・アイデンティティーを築いていきました。フィンランド文学という定義を難しくさせるのが、
まさにフィンランドの歴史と言えます。スウェーデンの支配下時代、ロシア大公国時代を経て、1917年にフィンラ
ンドは独立しますが、フィンランドの文芸文化の始まりを独立後に定まったと言うことには無理があります。
歴史を紐解いていくと、幾千年の歴史を持った口承詩が最も古いとされますが、民俗詩の研究は18世紀より
ヘンリック・ガブリエル・ポルトハンによって行われてはいるものの、具体的な形として民俗詩を叙事詩風に纏め上げた
のは19世紀に入ってからのことです。それ故、民俗詩をフィンランド文学の始まりとするのは難しと思われます。更に、
民俗詩収集の背景にはヘルダーやヘーゲルなどの西洋思想が影響しており、文芸の一方向性として考えられます。
本サイトではフィンランド文学がどのように発達してきたかをご紹介することが目的ですので、フィンランド人
のために出版されたカトリック教会礼拝書『トゥルク人の祈祷書』、フィンランド最初の創作作家とされるヨンス・ブッダの作品『ヨンス・ブッダの本』、そしてフィンランド語で印刷された最初の本であるミカエル・アグリコラの『ABCの教本』)などが現れたスウェーデンの支配下時代から簡略的ではありますが紹介していこうと思います。大まかな時代区分は下記のようにしました。
スウェーデンの支配下時代の文学(約1200-1809)
ロシアの大公国時代の文学(1809-1917)
独立期~第二次世界大戦までの文学(1917-1945)
第二次世界大戦後の文学(1945-1970)
現代の文学(1970-)
まずは、「フィンランド文学の概説」で簡単な流れをお読みください。
フィンランド文学の概説
上記の時代区分のリンクから参照してください。 (サーミ語の文字が表示できないものがあります。ご了承ください。)
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