【要約】
「ヌンヌちゃーん、おきてー。プリッリ教授のおひるね、わすれてるよー」
いつもは、てきぱきホップくんに起こされるのですが、きょうは、ぶつぶつムズカリくんの声に、ヌンヌちゃんは目を覚ましました。ねむの木にすやすや眠るヌンヌちゃんは、プリッリ教授の夢をまかされています。
ところが、おしごと道具の「あくびのうちわ」が見つかりません。そこで、ホップくんのお店で、ねむりバエのサンテリを手に入れます。
プリッリ教授のあごひげは、ヌンヌちゃんを待っているあいだに、どんどんのびて、ついには家を飛びだします。
ヌンヌちゃんの眠りの世界は、どこにもなににも急いでいません。時から解かれた夢の世界を、はたして、プリッリ教授は見ることができるのでしょうか。そして、みんなはどんな「おやすみまえのねがいごと」をするのでしょう。
日本では『ボタンくんとスナップくん』(1964, 講談社1971)、『ロボットのロムルスくん』(1968, 講談社1972)の邦訳で知られている絵本作家オイリ・タンニネンですが、その美しい言葉遊びとオノマトペは、読み聞かせにリズムをつけます。そして、鮮やかな色彩が織りなす切り絵とちぎり絵のコラージュは、夢の世界に広がりをもたせます。
同書は、『ヌンヌちゃん(Nunnu)』(1965)、『ヌンヌちゃん、そらをとぶ(Nunnu lentää)』(1966)、『ヌンヌちゃん、おっこちる(Nunnu putoaa)』(1969)を収蔵した復刻版作品集です。「ヌンヌちゃん」シリーズは、アニメーション化されてフィンランド国営放送YLEで放映されて人気を博し、トペリウス賞、ルドルフ・コイヴ賞、フィンランド政府賞などに輝いています。また、「子どもにずっと読み継いでゆきたい名作」として2007年度フクロウ書籍賞の候補作にあがっています。3歳児くらいを対象にした絵本です。
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