KIRJOJEN PUUTARHA
フィンランド文学情報サイト

 

 tunnus おすすめ作品

Naisen paikka    原書名:  Naisen paikka
 (女性の場所)
 作者名:  Vilja-Tuulia Huotarinen, 1977~
 ヴィリヤ=トゥーリア・フオタリネン
 出版社 / 年:  WSOY / 2007
 ページ数:  62
 ISBN:  9789510328446
 分類:  詩
 備考:  

【要約】

フオタリネンの処女詩『ハサミをもって走ってはいけない(Sakset kädessä ei saa juosta)』(2004)では、大人へと成長する少女に強いられてくるさまざまな条件、不安、恐怖、そして葛藤を描いた。第二詩集となる今作では、その少女が大人の女性へと成長する。じぶんとはなんなのか、じぶんの魂の家はどこにあるのか、大いなる母たちから受け継いできた生命の連続体をとおして考える。

どしゃ降りのなか、帽子をかぶって騎乗する、
私を落馬させるのは、ただ驚異だけ。
(「天空」より)

不安のなかにただ在るだけに留まらず、偶然にただ身を任せるだけに留まらず、自ら選択し、前へと進んでゆく決意のこもった詩集。

【抜粋訳:p.60】

チャンス

公園を散歩するときはいつも、
願いが叶うことを思っているときはいつも、
傘を広げて、だれかが
木からジャンプする。

ニンジンで育った花嫁たちが、
石畳を行進する。

一人目は毒を飲み、二人目はうわ言をいい、
三人目の爪は内巻きに伸びて、
四人目は雲をうずたかく足に挟んで、兵隊のように歩いている。
彼女が公園のむこう側へ渡るなら、
女王に昇格できるだろう。

五人目は地図から消え

彼女はだれにも探せない、探そうとすらするだろうか

こんなに

         軽やかに

花嫁は幸せをつかんだ

    手のひらに

ジャンプした

文/訳 末延弘子 ヴィリヤ=トゥーリア・フオタリネン著『女性の場所』(2007)より


おすすめ作品の目次へ ▲このページのトップへもどる