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Konsta, eka A    原書名:  Konsta, eka A
 (コンスタ、一年A組)
 作者名:  Tuula Kallioniemi, 1951~
 トゥーラ・カッリオニエミ
 出版社 / 年:  OTAVA / 2004
 ページ数:  142
 ISBN:  9511197134
 分類:  児童小説
 備考:  Velmuja ja vintiöitä

【要約】

コンスタ・コポネンは7歳になりました。いよいよ小学校一年生です。初日の朝は、期待と不安で足を挫いたり、トイレがやたらと近くなったり、なんだか落ち着きません。同い年で隣に住んでいるアンニとは同じA組になりました。

担任は、巻き毛のショートヘアで元気いっぱいのおばあちゃん、ミリヤミ・レッパネン先生。「一年生のもっとも大切な仕事は遊ぶことです!」と言うミリヤミ先生に、コンスタは耳を疑います。忘れ物をしないために赤い糸を指に巻きつけたり、ののしりたいときは20秒待ってみたり、みんなそれぞれじぶんのおもちゃを持ってきて遊んだり、絵本を作ったり、父母参観日のために「眠れる森の美女」を練習したりと、授業はまさに遊びの延長線のようです。

楽しいけれど、毎日が不安なコンスタ。クラスメートとともに、コンスタはなにを学び、いかにじぶんを表現してゆくのでしょう?

カッリオニエミの「コンスタ」シリーズ第一弾。

【抜粋訳:pp.95-98】

「さあ、話し合いをしないといけませんね」
ミリヤミ先生はひどく厳しい口調で言いました。(・・・)そして、こう聞きました。
「みんなは、機嫌がいいときに乱暴なことばを使いますか」
使うのは、怒っているときや機嫌がわるいときだというのが、みんなの意見でした。
(・・・)
先生は教室をいったん出て、しばらくしてケチャップボトルを手にもどってきました。みんなはふしぎそうに先生を見ています。
先生はボトルを逆さまにしてプシュッと押しました。すると、ピュッと音がして、笑いがおこりました。先生はもういちど押しました。ピュッ、ピュッ。
「このボトルにはもうケチャップはありません。でてくるのは空気だけです。おなじことが乱暴なことばにも言えます。乱暴なことばはどんなふうにでも使えますが、それにはもう力はありません」
だれかがののしったら、空っぽのケチャップボトルをいつも思いだそうと、コンスタは思いました。コンスタが笑っていたら、相手はののしる気分にならないかもしれません。
(・・・)
どうにも怒りがおさまらないときは、みんなが考えついた「ののしりことば」が入った瓶から一枚ひいて、読みあげることができます。でも、使うまえに、20秒数えなくてはなりません。ケチャップボトルのように、乱暴なことばをむやみに使いすぎて空っぽにしないためです。

文/訳 末延弘子 トゥーラ・カッリオニエミ著『コンスタ、一年A 組』(2004)より


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