KIRJOJEN PUUTARHA
フィンランド文学情報サイト

 

 tunnus おすすめ作品

Muumi laakson neljä vuodenaikaa    原書名:  Muumilaakson neljä vuodenaikaa
 (ムーミン谷の四季)
 作者名:  Tove Jansson, 1914~2001 & Sami Malila
 トーヴェ・ヤンソン&サミ・マリラ
 出版社 / 年:  WSOY / 2002
 ページ数:  79
 ISBN:  951027027X
 分類:  その他
 備考:  Muumimamman mietekirja / Muumipapan mietekirja /
 Pikku Myyn mietekirja

【要約】

トーヴェ・ヤンソンのムーミン童話(1945-)のムーミン谷には四季があります。春、夏、秋、冬、それぞれの季節に、ムーミン谷の住民たちは、どんなことを感じて、どんなことをしながら、毎日を過ごしているのでしょうか。あるときは、ひっそりとじぶんの世界に浸りながらいろいろなことをじっくり考えたり、あるときは、想像力のおもむくままに楽しい遊びを思いついて夢中になったりします。

秋には、切手や落ち葉のコレクターになり、大掃除をしながら落とし物ハンターになり、暗号ごっこでは想像力を働かせます。冬には、モミの木の飾りを工夫したり、雪ランプを灯したり、雪面の足跡から調査ノートをつくります。春には、種から植物を育てたり、いろいろな博物館の見学ツアーのあとに展覧会ごっこをしたり、あるいは、イースターの飾りを段ボールでつくるのもすてきです。夏には、飛び回る小さな羽虫や小鳥の観察にふけったり、夏至のおまじないを試したり、あるいは、夏の花を摘んで花ノートをつくるのもひとつの思い出になります。

思考や想像力は平凡な日常を驚きに変え、遊ぶことで探究心や好奇心がますます芽生えます。この本には、ムーミン谷の四季折々の遊びが紹介されています。案内人は、考えることや遊びの名人であるムーミン谷の住人たちで、遊びのヒントを教えてくれます。好奇心をもっているのは子どもだけではありません。大人もきっと、ムーミンたちの小さなヒントと鋭い観察力に大きな喜びと驚きを感じることでしょう。

季節はムーミン童話の引用文から始まり、ムーミンたちの「遊び方」へ誘います。「遊び方」から、またちがった日々の楽しみ方がみえてきます。

【抜粋訳:p.76】

花摘み

夏になると、庭や近くの公園や森で、いろいろな花やベリーを目にします。その色を目に焼きつけて、夏の美しい色をすべて画用紙に描きましょう。タンポポは黄色、でも茎は緑。空は青で、ちぎれ雲は白。完成した絵を壁にかければ、すばらしい作品展のできあがり!

夏至には、昔から伝わるおまじないや秘密の儀式があります。夏至の日に、湖上で燃えるコッコと呼ばれる松明や、なにかの前ぶれとして信じられているカッコウの鳴き声。それから、女の子たちは夏至の草花を七種類摘んで、寝る前に枕の下にしのばせるのも、昔からのならわしです。

真夏の草原は、花々でいっぱいになります。数本を摘んで、吸い取り紙ではさんだら、本にはさみましょう。本のうえに、さらに数冊、重し代わりにおきます。そして、花が乾燥するまで、二、三週間待ちます。乾燥したら、紙のうえに花をおいて、美しい模様をつくります。形がきまったら、花のうらに糊をちょこっとのせて、固定させます。ドライフラワーで、植物ノートやしおりやカードもつくれます。ただ、草花を摘むまえに、摘んでよいかどうか、おとなの人にたずねましょう。だって、自然保護の花をうっかり摘んでしまってはいけませんから。

文/訳 末延弘子 トーベ・ヤンソン&サミ・マリラ著『ムーミン谷の四季』(2002)より


おすすめ作品の目次へ ▲このページのトップへもどる