【要約】
秋をまえに、お母さんと親友のプリートを海の向こうに残して、小学一年生のエリアスはお父さんと妹のインケリと町で新しい生活を始めました。おしゃべりだったエリアスは、しゃべらない子になりました。空を群れて飛ぶカラスを眺めては別れてしまった二人を恋しく思い、建物から漂うスープや焼きたてのパンの匂いにお母さんを思いました。雨上がりの帰り道、エリアスは海が見たくて港に出ました。海なら、目に見えない赤い糸のメッセージが伝わっていくと思ったのです。お父さんがかつて読んでくれた中国の童話には、望まず離ればなれになった大切な人を繋ぐ、目に見えない赤い糸があると書いてありました。エリアスは二つの家を行き来することになりました。小学生になって初めての夏休みに、エリアスはお母さんの家に帰りました。親友のプリートと再会したエリアスは、すこしずつしゃべり始めました。
両親の離婚と友人との別れがもたらした変化を、静かに丁寧に呼吸して、エリアスは内側の世界と折り合いをつけていく。2012年度フィンランディア・ジュニア賞候補作。
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