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Den vita vinthunden    原書名:  Den vita vinthunden (suom. Valkoinen vinttikoira)
 (白いハウンド犬)
 作者名:  Henrika Ringbom, 1962~
 ヘンリカ・リングボム
 出版社 / 年:  TAMMI / 2005
 ページ数:  111
 ISBN:  9513133567
 分類:  詩集
 備考:  

【要約】

フィンランドの現代詩を代表する詩人ヘンリカ・リングボムの言葉は、水のように流れ、夢のように多様に世界を繋いでゆく。文法や解釈や比喩にとらわれることなく、言葉の持つ純粋なイメージとリズムで編み上げられる円環的な詩は、着地点ではなく始まりを探求する。

【抜粋訳:p.74】

杖を手に
ひとり闇を歩いた、盲人のように
手探りした、はるか下で
瞬く光は、機上の星空の
町のよう
深い底の貝のよう
その固い殻が湖で
やわらかく脈打つクラゲに
溶けだし
血走った魚が引き裂き
貪る前に、影も形もなく
深く沈んでいた
残骸が
水面に迸り
水をいっぱい湛えて
胡桃の殻のように浮かんだ、私たちは
ならんで町を歩く、見える、見える
葉っぱがぐるぐる渦巻いている、一人が
死んでゆく、大丈夫、目の前は
葉っぱで真っ暗、大丈夫、私たちは
みんな死んでゆく、大丈夫

文/訳 末延弘子 ヘンリカ・リングボム著『白いハウンド犬』(2005)より


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