【要約】
クリスティーナ・ロウヒは、フィンランドを代表する児童書の挿絵画家です。これまでに、児童書イラストに功績を上げたイラストレーターに贈られるルドルフ・コイヴ賞、フィンランディア・ジュニア賞、最優美書籍賞などを受賞しているほか、国際児童図書評議会(IBBY)オナーリストにも挙がるなど、海外でも高く評価されています。数々の作品の中でも、娘の誕生をきっかけに書き下ろした幼年向けの人気絵本。
「アイノ」シリーズ(1984-)は、ロウヒの絵本作家としての処女作で、すでに20冊を超え、10カ国語以上に翻訳された代表作です。
物語の主人公は、フィンランドの小さな女の子アイノです。フィンランドを舞台に、アイノが自然や人々と触れ合いながら、ゆっくりと時間をかけて成長してゆく、優しく温かい話です。淡く儚い水彩の挿絵もとても情緒的で、ほのぼのとした安堵感と細やかな感動が伝わってきます。
第一弾『アイノのはるなつあきふゆ(Ainon vuosi)』(1984)では、移ろいゆく季節に遊ぶアイノが描かれます。秋に熟れたナナカマドの赤い実を摘み、やがて金色の麦畑に雪が降ると、庭先に訪れた冬の野鳥と戯れ、芽吹くネコヤナギの銀白の花穂やタンポポに春の到来を思う。コートを脱いで外に出て、咲き乱れる夏の花や虫と遊び、お母さんと一緒に植えたリンゴの苗木が、ふたたび巡った秋に結実すると、また新たなアイノの季節が始まります。
ほかに、『Ainon kanssa(アイノといっしょ)』(1984)や『Aino matkustaa(アイノの旅)』(1991)などがあります。アイノが公園でお友だちのオウラとブランコや砂場で遊んだり、お兄ちゃんとかくれんぼやおままごとをしたり、お父さんとお風呂に入ったり、あるいは、小学生になったアイノが家族で外国に旅行したりと、アイノと一緒に、優しい気持ちになって、世界を体験します。
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