【要約】
オットは、テンテン模様が大好きな北国うまれのオオヤマネコです。今は、常夏のテンテン森に住んでいて、ヒョウの両親のもとで暮らしています。お父さんのレオ・バルドとお母さんのサルサ・バルドはどちらも詩人で、日がな一日、木のうえで過ごして詩を書いています。
ある日、オットは、自分とおなじ模様の兄弟がほしくて、「ぼくにうりふたつの兄弟がほしい!」とお願いしました。
レオとサルサには、子どもができませんでした。でも、二人はお父さんとお母さんになりたくて、オットを養子縁組しました。孤児院にいたオットはサギのタクシーに乗って、レオとサルサのもとへ運ばれてきました。ほんとうのお母さんのミルクではないけれど、愛情たっぷりのココナッツミルクで、オットは育ちました。
オットは北国うまれなので、日に当たりすぎると赤いじんましんができます。赤いテンテンが治るまで、昼のあいだは洞窟で過ごすことになりました。オットのじんましんが治るように、オットの悩みを解決してくれるように、お母さんのサルサはヒマワリの種をまきました。この種は、オットを運んできたサギがくれたものでした。
洞窟のなかでは、いろんなネコ科たちがバレエのレッスンをしていました。恥ずかしがりやのオットはこっそり様子を見ていました。
みんなが帰ったあと、オットはひとりぼっちになりました。ところが、自分とそっくりなオオヤマネコがいることに気づいて、オットはうれしくなります。つぎの日も、オットはふたごの兄弟に会いたくてうきうきしながら洞窟に行きました。しかし、ふたごの兄弟はオットの動きのまねばかりして、オットはつまらないと感じるようになりました。パイナップルを食べに遊びに来るように誘っても、もうひとりのオットは洞窟から出てきてくれませんでした。
訪ねてきてくれたのは、オットとは模様のちがう三人のバレエレッスン生でした。クロヒョウのパレ、ライオンのレッティ、トラのタレの三人は、オットが洞窟に置き忘れた片方のバレエシューズを届けに来てくれたのです。オットは三人と洞窟に出かけて、あたらしい友だちを紹介しました。しかし、それは鏡に映ったじぶんだったということに気がついて、オットはがっくり肩を落とします。鏡像とは握手もできなければ、抱きつくこともできませんから。
でも、パレやレッティやタレとは手も握れるし遊ぶこともできます。三人の模様は自分とはちがうけれど、とってもすてきで、オットは仲よしになります。オットの赤いじんましんもだんだん薄くなり、花を咲かせたヒマワリを日よけ帽子にして、三人と外で遊ぶようになりました。
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