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森本覚丹氏 訳 『Kalevala』(日本書荘, 1937)

カレワラ

【感謝の言葉】

『カレヴァラ』(Kalevala, 古 1835, 新 1849)とは、フィンランドの国民的叙事詩であり、J.L.ルーネベリの『旗手ストールの物語1~2』(Fänrik Ståls sägner I-II, 1846~1860)と並んで、フィンランドの文化の礎を築いた作品のひとつです。現在までに日本でも多くのカレヴァラ関連書物が書かれ、完訳として森本覚丹氏(日本書荘, 1937/ 講談社学術文庫, 1983)と小泉保氏(岩波文庫, 1976)によるものがあります。

本年(2006)夏に本サイトスタッフが、「カレヴァラの作品構成―サンポサイクルを中心に」と題して講演を行いました。講演後、その講演会の主催者から、日本語に最初に完訳され、フィンランド政府の補助金で豪華に製本された日本書荘版(1937)を寄贈頂きました。数少ない貴重な書籍であり、分野を研究する者としては非常に感激いたしました。この場をかりて寄贈された方並びに同学会の方々に重ねて感謝申し上げます。


【カレワラなの?カレヴァラなの?】

フィンランド語を学習されている方々は、お気づきのようにフィンランド語で「Kalevala」は「カレヴァラ」と発音します。本来『カレヴァラ』と日本語表記すべきところを『カレラ』と日本語に訳されているのは、当時のフィンランド語のアルファベット表記に理由があります。フィンランド語では、「V」と「W」は両方とも「ヴ」と発音することから、表記法に明確な区別がその当時なく、1835年に出版された『古カレヴァラ』も『Kalewala』と「w」が用いられていました。これをローマ字読みした「カレラ」が日本語で定着したようです。 その他に日本の研究者の中には、「カレラ」と「カレラ」のように使い分けて、『古カレヴァラ』と『新カレヴァラ』と区別するために表記する場合もあります。(ただし、このようは使い分けは、本国フィンランドでは行われていません)


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