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 Paavo Haavikko - Kullervon tarina - Amorphis - eclipse

 

フィンランドを代表するMelodic death metalバンドAmorphisがアルバム「eclipse」(2006)をリリースしました。このアルバムの歌詞は、Paavo Haavikkoの劇作『Kullervon tarina』(クッレルヴォの物語, 1982,1989)に基づいています。

アルバムのリリースが今年のはじめでしたので時期的に遅れてしまいましたが、『Kullervon tarina』のあらすじを辿りながら、各曲の背景について大まかに綴ってみます。日本にもたくさんAmorphisのファンがおられると思います。多少なりともご参考になれば幸いです。

 
 
1982年に作家のPaavo Haavikko (パーヴォ・ハーヴィッコ, 1931~)は、フィンランドの国民叙事詩『Kalevala』(カレヴァラ, 1849)を独自の世界観で劇化した『Rauta-aika』(鉄器時代, 1982)を著しました。この作品は、テレビ・ラジオドラマ化されました。しばらく時が経ち、このテレビシリーズの完結編をHaavikkoが別に記した劇作『Kullervon tarina』(クッレルヴォの物語, 1982,1989)で製作する企画が持ち上がりました。

そのテレビ映画の監督をしていたPekka Lehto(ペッカ・レフト)が、テレビ映画の音楽をAmorphisに持ちかけたのがことのはじまりです。 Amorphisはこれまで『Kalevala』を題材に用いた作品をリリースしています。それゆえ、この企画に賛同しHaavikkoの『Kullervon tarina』に親しみました。しかし、残念ながら予算的な問題でテレビ映画の企画は白紙になってしまいました。

それから月日が経ちAmorphisは新しいアルバム製作を開始します。新たな題材を求めていた時に『Kullervon tarina』のストーリーが再びメンバーの脳裏をよぎりました。曲(メロディー)自体はある程度できていたようで、そのメロディーに物語の主人公Kullervoの悲劇の人生、そして憂鬱なイメージがマッチしたようです。

Amorphisのメンバーは、Haavikkoに連絡を取り、『Kullervon tarina』の使用権を得ます。同時にHaavikkoはメンバーにいろいろと助言を与えたようです。そして、Amorphisは『Kullervon tarina』に基づく14曲を完成させます。その内10曲+ボーナストラック1曲の計11曲が「eclipse」として世に送り出されました。これがAmorphisが「eclipse」に『Kullervon tarina』の題材を取り入れた経緯となります。