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『ペリカンマン』(レーナ・クルーン原作)の日本語版DVDが発売!

Ihmisen vaatteissa Pelikaanimies

【再度UP】

以前(2005/11/10)にニュース&特集記事で取り上げた『ペリカンマン(Pelikaanimies)』(2004)の日本語版DVDが2006/09/22に発売されます。そこで、以前ご紹介した記事を再度下記にUPします。

【以下ニュース&特集記事2005/11/10より】

シカゴ国際児童映画祭で『ペリカンマン』が最優秀賞に

リーサ・ヘルミネン監督が制作した家族むけ映画『ペリカンマン(Pelikaanimies)』(2004)が、シカゴ国際児童映画祭最優秀賞を受賞しました。同映画祭には、40カ国が参加し、200点に及ぶアニメーションや実写映画が上映されました。字幕も一言語に抑え、吹き替えせずにフィンランド語で上映されたにも関わらず、子どもたちから温かい称賛を得ました。

リーサ・ヘルミネン監督が制作した家族むけ映画『ペリカンマン(Pelikaanimies)』(2004)が、シカゴ国際児童映画祭最優秀賞を受賞しました。同映画祭には、40カ国が参加し、200点に及ぶアニメーションや実写映画が上映されました。字幕も一言語に抑え、吹き替えせずにフィンランド語で上映されたにも関わらず、子どもたちから温かい称賛を得ました。

 原作は、フィンランド現代文学を代表するレーナ・クルーンの『ペリカンの冒険(Ihmisen vaatteissa人間の衣をまとって)』(1976; 邦訳1988)です。30年以上もの時を越えた今でも、褪せないクルーンの一貫した哲学や倫理観が伝わってくる作品です。このクルーンの世界観は、『タイナロン』、『ウンブラ』、『木々は八月に何をするのか』、『ペレート・ムンドゥス』へと形を変えながらも滔々と流れています。

 空から舞い降りたペリカンは、鳥としてではなく人間として生活したいと望んでいました。謎めいた紳士ヒューリュライネン(スクリーンでは"リントゥ(鳥)")と名乗りながら、アパートを借りて、オペラ劇場で働き、鳥のように美しいプリマドンナに恋をし、人間の世界でさまざまなことを吸収していきます。ある日、ペリカンは、両親の離婚のために田舎から都会へ引っ越してきたエミル少年と出会います。エミル少年から言葉を教えてもらいながら、二人の間に友情が育まれてゆきます。ところが、正体がばれてしまったペリカンは動物園に連れていかれました。エミル少年は、ペリカンを助けに勇気を奮い起こすのですが・・・。大人や人間の力は強大です。その手で科学や芸術を創りだすこともできれば、子どもの想像世界や動物の住む環境すら破壊しかねない力ももっています。人間の衣をまとったペリカンには、はたしてなにが見えたのでしょうか。そして、揺れ動く情緒を抱えたエミル少年は、ペリカンをとおしてなにを見たのでしょう。

 現実と幻想がクルーンらしく詩情豊かに融合したファンタジーは、近年、アメリカで衆目を集めています。昆虫世界を書簡体で綴った『タイナロン-もう一つの町からの便り』(原書:Tainaron postia toisesta kaupungista, 1985 WSOY/邦訳 2002 新評論)は2004年にアメリカで英訳が刊行され、優秀作品に選定されたり、The World Fantasy Awardsの候補作品に挙ったりするなど高い評価を得ています。2006年には、本国フィンランドで記念本『タイナロン』(Teos)の重版が予定されています。


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