KIRJOJEN PUUTARHA
フィンランド文学情報サイト

ニュース

2010年度北欧評議会文学賞の受賞者

フィンランディア賞

【2010年度北欧評議会文学賞の受賞者】

2010年度北欧評議会文学賞の受賞者が発表されました。今年度は、フィンランドのソフィ・オクサネン(Sofi Oksanen, 1977-)の小説『Puhdistus(粛清)』(2008, WSOY,劇作は2006年に出版)が受賞しました。

『粛清』は、エストニアの歴史に根ざした小説で、主人公のアリーデとアリーデの姉の孫にあたるザラが歴史の中で翻弄されていく姿を描いた長編小説です。この作品はもともと2006年に劇作として書き下ろされ、それを小説化したものです。作品のテーマは、女性に対する性的な暴力、女性のはかない人生、そして愛となっています。

ソフィ・オクサネン(Sofi Oksanen, 1977-)

ソフィ・オクサネンは、フィンランドの小説家・劇作家。フィンランド人の父とエストニア人の母を持ち、中部フィンランドのユヴァスキュラで育ちました。ヘルシンキ大学で文学を学び、その後演劇スクールでドラマトゥルギー(ドラマの製作手法)を学びました。ソ連の支配下にあったエストニアを描いた『 Stalinin lehmät(スターリンの牛たち)』(2003, WSOY)で作家活動を開始します。『Baby Jane(ベイビー ジェーン)』(2005, WSOY)ではパニック障害をテーマに取り上げ、その障害によって失われていく人間関係、そして暴力を描いています。

北欧評議会文学賞とは?

1962年に創設された北欧諸国(デンマーク、スウェーデン、ノルウェー、フィンランド、アイスランド)の文学を対象とした文学賞で北欧評議会によって選出される。賞金として350,000デンマーク・クローネが受賞者に与えられる。過去フィンランドからは、Väino Linna, Veijo Meri, Hannu Salama, Bo Carpelan, Antti Tuuri, Tua Forsström, Kari Hotakainenらがこの文学賞を受賞している。


ニュース&特集記事の目次へ   ▲このページのトップへもどる