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2004年度フィンランディア賞 ヘレナ・シネルヴォへ

Helena Sinervo 年々、フィンランドで発表される小説の数も質も向上し、有力候補作品までのし上がる作品群には若手の作家たちの活躍も目立ってきています。最終候補作品として選ばれた6作品(ピルヨ・ハッシネン、ミッコ・リンミネン、アスコ・サルベリ、ヤリ・テルヴォ、ヘレナ・シネルヴォ、エーリック・ヴァールストローム)の特徴としては、「仕事生活の実態や現状を描写した前年度の傾向とは一転して、過去に焦点を当て、歴史的事件(1918年の国内紛争など)や歴史的人物を追った作品が多く見られました」(選考委員会長ユッカ・サルヤラ教授のスピーチより)。

そのなかで、20世紀後半のモダニズム時代に活躍した女流詩人であり翻訳家であるエーヴァ=リーサ・マンネルの生涯を私小説風にまとめた、詩人ヘレナ・シネルヴォ(Helena Sinervo, 1961~)の処女小説『詩人の家で(Runoilijan talossa)』(2004)が、本年度のフィンランディア賞に選ばれました。「過去へ遡り、苦難に満ちた幼少時代から晩年に至るまでのマンネルの人生を通して、孤独、不安定な精神、揺らぐ交友関係、そして自分自身を受け入れる難しさというテーマが、繊細かつ審美的な簡潔さをもって描かれた作品です」(選考委員会長ユッカ・サルヤラ教授のスピーチより)。


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