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 膨らみつづく子どもの本のあゆみ

子どもの本には、純粋さを呼び起こすなにか、があります。軽快で、柔軟で、気持ちがよくて、どきどきする、そんな上機嫌が絵本や児童書には、溢れています。そして、その根源的な感動には塀はなく、まさに、「子どもの本は世界をつなぎ、未来を拓く」ものだと、国際子ども図書館の「北欧からのおくりもの―子どもの本のあゆみ」展を観て、あらためて感じました。

同図書館3階「本のミュージアム」では、北欧(デンマーク、スウェーデン、ノルウェー、アイスランド、フィンランド)の児童書が、時代を追いつつテーマごとに展示されています。サガとエッダという18世紀以前の物語のはじまりから、口承もの(カレヴァラ)、教諭的で説話的な19世紀の童話(ザクリス・トペリウス、アンニ・スヴァン)、20世紀前半の児童詩や絵本の躍進(キルシ・クンナス、ルドルフ・コイヴ)、60年代の児童書の黄金期(トーヴェ・ヤンソン、ユルヨ・コッコ、イルメリン・サンドマン=リリウス、レーナ・クルーン)、社会性を帯びた70年代の児童書、80年代の絵本とファンタジーの隆盛(マウリ・クンナス、ハンネレ・フオヴィ、クリスティーナ・ロウヒ)、90年代から今世紀にかけては、大人と子どもの本の垣根を越えた児童書(トゥーラ・カッリオニエミ、シニッカ・ノポラ&ティーナ・ノポラ、ティモ・パルヴェラ)まで、原書や邦訳本とともに包括的に親しめるようになっています。ほかに、小人のコーナー(ペッカ・ヴオリ)、ABC本コーナー(トゥーラ・コロライネン)、サーミコーナー(キルスティ・パルット)なども設けられ、隅から隅まで見逃せません。

今回、ヤンソン作品などの児童書を数多く手がけている渡部翠氏と、講談社児童局の大村由起子氏とともに、展示を鑑賞しました。そして、時代を越えてもなお、愛されつづける児童書に、幼少時代を胸に抱きつつ、また感動しつつ、展示場を後にしました。

*( )内には、フィンランド人作家名のみご紹介しました。

主催:国立国会図書館 国際子ども図書館
開催期間:平成18年7月15日(土)~平成19年1月28日(日)
休館日:月曜日、国民の祝日・休日(5月5日を除く)、年末年始
臨時休館:平成18年8月18日(金)14:00~
資料整理休館日: 毎月第3水曜日
開館時間: 9:30?17:00
展示会場: 3階 本のミュージアム


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