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フィンランド航空機内誌「キートス」2005年春夏号(No.23)掲載-pickup p.5

フィンランド航空機内誌「キートス」2005年春夏号(No.23)が発行されました。その中に本サイトのスタッフが寄稿したフィンランド文学情報が「pickup」として掲載されました。発行元より許可をいただきましたので、その記事を下記します。

Kiitos_23 pickup_23-01『麦わらぼうしのヘイナとフェルト靴のトッス』と『ムーミン谷』

キラキラの黄色い太陽を浴びて、駆け回る子どもたち。管楽器のような軽やかな笑い声は、フィンランドの高く澄んだ青空まで響きます。

愛くるしくて元気いっぱいのフィンランド児童文学が、今秋、日本のスクリーンと翻訳本で楽しませてくれます。『麦わらぼうしのヘイナとフェルト靴のトッス』(末延弘子訳、日本語版刊行予定)は、本国では二〇〇二年に映画化され、カイサ・ラスティモ監督がメガホンを握った映画「ヘイフラワーとキルトシュー(仮)」(今秋十月公開予定)は、総観客動員数および興行成績ともに子ども向け映画としては快挙を達成しました。

Heinähattu ja Vilttitossuおりこうさんの麦わらぼうしのヘイナとおてんばなフェルト靴のトッスは、遊ぶことが大好きなカッティラコスキ一家の姉妹。生き生きと輝きながら成長する子どもたちを見守るのは、ジャガイモ研究に没頭するパパのマッティと家事に悪戦苦闘するママのハンナ。隣家に住む料理上手のおデブなアリブッレン姉妹のヘルガとハリセ、ハリセに恋心をよせるでぶっちょ警官と警察に誇りをいだくひょろめがね警官は、一家のドタバタ夏休みに巻きこまれて、さあ大変。

子どもをもつ親の悩みとは?子どもの成長にともなう情緒とは?いかにして家庭で子どもの自主性や主体性の可能性を伸ばしていくのでしょう?そんな普遍的な課題をかかげた現代のフィンランド人家族の生活が、感動的にみずみずしく描かれた作品です。

Muumilaakso 「麦わらぼうしのヘイナとフェルト靴のトッス」シリーズは、フィンランドでは国民的な児童文学として幅広い年代に読まれていますが、揺るぎない人気を誇っているのはやはりムーミン作品でしょう。世界の人びとに愛され続けてきたムーミン作品は、その第一作目『小さなトロールと大きな洪水』が刊行されて今年で六〇周年を迎えます。友情と愛情、冒険と好奇心、そして自然との共生と自由な孤独に、いつだって誰だって感動を覚えてきました。その感動を記念して、作者トーヴェ・ヤンソンの歩みとムーミン作品の手引書として親しめる翻訳本『ムーミン谷』(末延弘子訳、講談社、八月刊行予定)が今夏に刊行されます。

今年は、ドキドキとワクワクに満ちた童心に返れそうな予感がしています。ヘイナとトッスと一緒に、そしてムーミン谷のすてきな仲間たちと一緒に。

文 末延弘子 フィンランド航空機内誌「キートス」2005年春夏号(No.23)より



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